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Sin.co -Re:The Ultimate Sin- main tales

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街 -2-

 屋敷の自室に戻るともう一度シャワーを浴び直し、ベッドに大の字に倒れ込んで一息つく。
 珍しく夕刻に帰宅したものだから、厨房のスタッフに夕食はどうするのか確認されたが、半端な時間にラーメンを食べてきたせいかまだ腹は減っていない。後で簡単な夜食を食うかもしれないが特にちゃんとした料理は用意しなくていいとだけ伝えて部屋に戻った。

 大の字のまま一旦大きく深呼吸すると起き上がり、部屋着を身に付けてデスクの上に積み上げた本とノートの山を一瞥する。リトルで貰ったあの写真の本を手に取り、椅子に深く沈み込んで表紙を開いた。

 英二との色々な『アソビ』に飽きたというよりは、今はこの"調べもの"の方が面白いというのが正解だ。別に英二に飽きたわけでも、ああして抱き合うことが嫌になったわけでもない。しかし、英二はもしかしたら椎多の中のその変化を椎多自身より敏感に感じ取っているのかもしれない。


 英二は──
 最初に会った時から、どこかアンバランスな奴だった。


 ぱっと見、"普通に"キャンパスライフを謳歌しているようなどちらかといえば真面目な大学生のような風体で、椎多の大学の親の金で豪遊している連中とも違う。少なくともあんな場末の雑居ビルに入り浸っていそうには見えない。しかし椎多の『アソビ』には躊躇なく付き合ってくるし、喧嘩もやたら強い。中学時代にグレて不良グループの一員として他校との喧嘩に明け暮れたり暴走族の連中と付き合ったり逮捕寸前だったこともあったというがそんな時期を過ごしてきたようにも見えない。

 外見から受ける第一印象と、ちらりと見える過去と、実際に話したり一緒にいるときの行動パターンと。それらがすべてどこかちぐはぐでしっくりこない。もしかしたら英二は"本当の自分"を押し殺して、何かを着ぶくれするように纏って生きているのかもしれない。


 そんな英二が椎多を抱いている時"だけ"、分厚く纏った"何か"を脱いでいる気がする。

 それは感覚的なもので根拠はない。ただ。

──『アソビ』だって言うのに。

 

 それはそれで、危ういことのように思える。
 本気になどなられては困る。そうなったらどう対処していいかわからない。

 時折そんな時の英二が見せる表情や触れ方が、ただの快楽や欲求を満たしているだけの相手に対するものを逸脱しているのでは、という気配を椎多はあえて見ぬふりしてやりすごしている。

 そんな事を考えていると、数時間前まで絡み合って何度も達したというのに無意識のうちに自分のものに手が伸びていた。

 突然。
 ノックの音がしてびくりと手を引っ込める。
 音の調子でどこか緊迫感が伝わってくる。
 立ち上り、急に気まずい気分になってじっとり湿った掌をスウェットの尻でごしごしと拭くと椎多はドアの内側からなんだ、と答えた。

「椎多さま、旦那さまが」


 メイドの声が切羽詰まっている。
 慌てて開くとメイドはほっとした顔をした。が、顔は真っ青だ。
「どうした」
「お倒れになって──柊野先生がすぐ坊ちゃまをお呼びするようにって」

──親父が?

 

 一気に血の気が引いて椎多はメイドを置いたまま父の部屋へ向かった。

 


「2日ほど前から体調が悪いと仕事を休んで横になっていらしたんですが」
 屋敷に常駐している老医師は椎多の顔を見ると一見慌てているようには見えない様子で説明を始めた。
「仕事を休んで──親父が?」
 スケジュール通りの休日以外の父は、多少の不調なら適当に薬を飲むなり点滴をするなりして仕事そのものを休むということはしなかった。それが2日も休むとは本人の中でも余程の具合の悪さではないだろうか。
「一体どこが悪いんだ。もともと何か──」
「先々月に健康診断と人間ドックは受診されたんですが、その時は特に緊急性のある所見は無かったんです。多少の数値の異常はありましたがこの年齢なら珍しくない範囲の。で、今朝わしの務めていた大学病院にお連れして、精密検査をしたのですが──」


 ごくり、と喉が鳴る。
「なんだ。ガンでもあったのか」
「いえ、悪性腫瘍ではないのですが、内臓のいたるところに潰瘍が出来ていて──今回その一部が言わば破裂して大出血を起こしたようです。他の潰瘍も次々、今も出血を始めている」

 

「そんな──」

 そんな、1ヶ月や2ヶ月でそんな状態になるような潰瘍が同時多発的に出来るなんてことあるのか。

「それで何でここに帰ってきてるんだ。そんなの入院して即手術だろ。なん──」
「専門医が匙を投げました。手の施しようがないと」
「それではいそうですかって連れて帰ってきたのか!なんとかしろよ!おまえ、主治医だろ?!」
 老人の胸倉を掴んで揺さぶる。老医師は皺しわの手でゆっくりと椎多の手を解いた。

 

「なんとかなるならしてますよ、坊ちゃん」

 

 横たわった父は、先週ちらりと会った時とは別人のように見えた。
 輸血も受けたらしいが、顔色が血の気の引いた青白を通り越して土気色になっている。魂がこの身体から抜けようとしているのが見えるようだ。
「待てよ──」
 今度は横たわった父の胸倉を掴もうとするのを、メイドや看護婦が必死に止める。


「待てよ!親父、本番はこれからだって言ってただろ!俺のやりたいことが見つかるまでゆっくり考えろって!」
 警備についていた者が椎多を背後から羽交い絞めにして抑えると、脚をばたつかせて子供のように暴れた。

──俺、自分がやりたいことがもしかしたら見つかったかもしれないんだ。

 それを、聞いてもらおうと思ってた。
 もしかしたらそれは、親父の会社に行ったら出来ることかもしれない。
 だから、後を継ぐとか継がないとかじゃなくて。
 大学を出たら、親父の会社に就職しようかなって。
 それを相談しようと思ってたんだ。

 きっと父さんは、そうか、と嬉しそうに笑って、俺の頭をくしゃくしゃにして、
 俺のやりたいかもしれないことが何か、楽しそうに聴いてくれてたはずだ。

 なのに、何だよ。
 なんで聴きもする前にくたばろうとしてんだよ。
 話が違うじゃないか──

「なんでだよ──」
 暴れるのをやめた椎多は自分を羽交い絞めにしていた警備員の腕を解き、脱力したようにベッドサイドの椅子にへたりこんだ。
 ぐるぐるする頭の中でふと違和感を感じて部屋の中を見回す。

「紫は来てないのか」

──こんな時に、あの野郎、何やってんだ。

「5日前からある組織との折衝で少し遠方に行ってらして──今こちらに向かわれてるはずです」
「ざけんな」

 

 あんなにべったりくっついてた癖に。
 親父の魂がどっか行っちまうかもしれない時になんでいないんだ。
 空でも飛んで、なんなら瞬間移動でもして今すぐ来いよ。
 間に──合わなかったらどうすんだよ。

 

 意識がすでに無いと思っていた父──七哉が微かに顔を動かした。

「父さん」
 ほんの微かに、唇を動かす。声帯を通らないような、息だけの声がしてそこに耳を近づける。目元は老人のように潤んでいるが、笑っているように見える。

──椎多。
──すまんな。

 すまんじゃねえよ。すまんと言うならさっさと起き上がって元通りになれよ。

 潤んだままの目が、少し動いた。椎多の後ろを見ているように──

──紫か。

 ハッと振り返ったが、まだ紫は来ていない。

 

──おまえがいてくれて、よかった。
──椎多を、たのむ。

 

 身体の中身が絞られるように息苦しくなった。
 やめろ。
 そういうのはやめてくれ。
 まだそんなの聞きたくない。

 座ったまま身体が硬直して動かない。

 扉脇の内線電話が鳴り、そこにいる全員が飛び上がらんばかりにびくりと動揺した。その横にいた警備員がその受話器を取る。
「紫さん、到着されたみたいです。すぐ来られます」

 

──遅えよ。今頃来てなんだよ。

 

 自分が泣いているような気がしていたが、涙が出ていないことに気づく。
 いきなりこういう場面に放り込まれたら、涙も出ないもんなんだな──

 扉外で様子を見ていた警備員が扉を開く。
 音も立てずに紫が駆け込んできた。
 息も乱していないし汗もかいていない。しかし、ネクタイは緩んでいるし髪も乱れている。顔色はそれこそ真っ白に見えるほど血の気が引いている。
 紫は何も言えずただ茫然と横たわる七哉を見下ろしている。

 

──この野郎。

 

 立ち上がり、殴ってやろうかと思ったのを柊野医師の声が遮り、紫を手招きした。紫はやはり立ったまま、七哉の顔を見下ろしている。
 部屋中がしんとしているせいで、息だけのような声が椎多の耳にも漏れ聴こえてきた。

 

──椎多を、頼む。

 

 馬鹿だな。
 本人にちゃんと言ってやれよ。
 おまえがいてくれて良かったって。
 椎多を頼むとかそんなのより、そっちのが大事だろ。
 そもそも俺のことを紫に頼まれたって、俺だって迷惑だ。

 紫はひとことも声を出さない。
 こんな時、手でもとってお任せ下さいとか言って涙のひとつでも零すんじゃないのか。

 それから数秒も経たないうちに、柊野が七哉の腕を取り、瞳孔を確認し、時刻を告げた。

「19時3分、ご臨終です」

 自分も泣いていないのを棚に上げて、紫が泣いていないのが無性に腹が立つ。頭の中がぐちゃぐちゃと攪拌されるような気がして、最後には笑えてきた。


 身体の奥の方で、急激に何かの覚悟が固まっていく気がする。固形化して質量を持ち、腹の底にずっしりと沈んだ。

 わかったよ。
 俺が、親父の置いてったもの、全部引き受けてやる。
 親父を慕っていた者たちに失望されても、諦められても、去られても。
 そんなもん構うもんか。
 俺は──俺の好きなようにやらせてもらう。

 笑えてきたら止まらなくなって、大声で笑ってやった。看護婦が怯えたようにこっちを見ている。
 さっきまで腰掛けていた椅子を蹴飛ばすと部屋を後にした。
 部屋を出たところで大きく息を吸い込み、廊下の壁にもたれる。

 まずは、役員連中に俺が後継者だと認めさせなければ。それから味方につけられるやつらを見極める。役員は全員親戚か近所のオッサンみたいなもんだが、つまり連中にとって俺はまだ社長の息子のちょろいガキでしかない。親父にはいい顔をしていたが隙を狙っていたやつもいる筈だ。そういうやつらはこの機会に絶対動く。

 悲しみを紛らわせるように頭の中をフル回転していると、紫がふらふらと部屋から出てきたのが見えた。口の中でちっ、と舌打ちすると紫の前に立ちはだかった。


「組の方は誰か──睦月にでも任せて屋敷に移れ」


 紫はまだ焦点のよく合っていないような目のまま、眉間の皺を普段の倍かと思うほど寄せた。

「親父の最期の頼みだ。嫌とは言えないだろう」

 親父の置いてったものを全部引き受ける。
 紫もだ。
 "親父のもの"だった紫も、俺が貰ってやるよ。
 お前が親父の言いつけをどこまで守れるのか、俺が見届けてやる。

 

 おそらくまだ茫然としたままでいる紫に背を向け、椎多は父の会社の秘書や部下たちが待機しているという部屋に向かった。


 あの雑居ビルでの事、英二のこと。
 ほんの1時間ほど前まで頭を占領していた事はすべて隅に追いやられ、それから1ヶ月近くの間椎多は思い出すこともなかった。

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 嵯院七哉が突然他界し──

 ろくに大学にも行かずどこかの繁華街で遊んでばかりいた"放蕩息子"は、社内で燻るかと思ったボヤをあっという間に鎮火した。不満を抱えたままの者も間違いなくいるが、役員会で次の社長として認めさせることには成功したのだ。
 対外的に後継者としての周知が進むまではまだ当分一刻も気を許せないとはいえようやく一旦人心地ついたのは、七哉の死去から1ヶ月ほど経ってからのことだった。

 椎多の机の上に積み上げられた本やノートはその役目を果たすこともなくそのままの状態になっている。一番上にはあの、オーナーの友人が出版した写真の本が、父が死んだ日に置いたそのままの状態で置かれていた。


 時刻は20時過ぎ。
 こんな時間に自分の部屋に戻ったのも久しぶりだ。ここへ帰宅しても疲れ切っていて机に近づくこともなく、バスルームからベッドルームに直行していたのだ。
 コートを脱ぎもせず、それを手にとって椅子に沈み込んであの日と同じようにページを捲った。

 ゆっくりと、ぼんやりと、何度も繰り返し見たはずのその写真を捲っていく。


 突然、鼻の奥で何か熱い塊が膨張したように──思い出したように涙が溢れた。

 俺のやりたかったことって結局何だったんだろう。
 父さんはこの先何がやりたかったんだろう。
 俺がやりたかったことを諦めて父さんの後を継ぐって言っても父さんは逆に怒るだろうけど。
 多分、そうじゃない。違うんだ。
 まだちゃんと自分でもわかってなかった。
 時間が欲しかったんだよ。
 もう少し。
 頭を解放した状態で、もう少し考えたかった。

 でももうしょうがない。
 俺は走り出してしまった。
 それなら前に進むしかない。

 涙を拭くと椎多は立ち上がりまた自室を後にした。
 車の整備に立ち会っている紫を見つけ、再び車を出させる。
「こんな時間からどちらへ?今日の予定は全て終わった筈ですが」
 いちいちカンに障る言い方をする奴だ。苦虫を噛み潰したような顔をして、椎多はあの雑居ビルの名を告げた。
「何時になるかわからない──」
 から先に帰っていろ、と言おうとして言葉を飲み込む。
「けど、ここで待ってろ。30分か5時間か朝までか、わからないから遅くなっても騒ぐなよ」
「わかりました」

 父の葬儀の後、紫は椎多の命令通り屋敷へ移ってきた。
 組はもともと睦月が補佐していたこともあり、悲しみはあっても大きな混乱はないようだ。
 内心どう思っているのかはまるでわからない。ただ、紫は椎多の命令にはどんな小さなことでも逆らわなかった。それがまた、椎多をちりちりと苛つかせる。


 繁華街の外れで待つように命令して車を降りると椎多はあの、1ヶ月前までは毎日のように顔を出していた雑居ビルに向かった。

──これがほんとに最後になるかもな。

 この1ヶ月でだいたいわかった。
 父の後を継いでやっていくということは、こんな場末のビルで居心地よく過ごすような時間はそう簡単には作れない。
 椎多はすっかり馴染みになっていた麻雀店やビリヤード場やマッサージ店、1階のスナックやおでん屋にも顔を出した。わざわざ別れを言うでもないが、それぞれの店で一杯、二杯など傾けながら他愛も無い話をしてすぐに出てきた。

 

 最後に、『バー・リトル』の扉を開く。

「──おう、ご無沙汰」
 何事もなかったように連が笑っておしぼりを投げ渡す。対照的に英二はいつもの席で息を飲んだような顔をしている。
「なんだ、えらくいいスーツ着て。それにその髪。就職活動か?」
「就職活動は来年になってからだよ」

 まあ、就職は決まっちまったけどな──と思いながらいつもの、英二の隣に腰を掛けた。

 ディスコで遊んでいる連中のような分厚い肩パッドの派手なスーツではなく、上質で上品なデザインのスーツ。細かいパーマで茶色くふわふわとしていた髪は黒く染め直し、短髪にしてその上整髪剤でしっかりと固めてある。中身は同じ人間なのに、それだけでどこかこの店から浮いている。

 自動的に出てきたシングルモルトのロックを傾ける。こういうウイスキーを飲むのも久しぶりだ。溜息のようにふう、とひとつ息を吐いた。


「──親父がくたばったもんで色々と手間取ってな」
「へぇ」
 相変わらず連は自分が語ろうとすること以外は詮索しない。それにずっと助けられてきた。
 英二はずっと、何か言いたげな──しかし何を言っていいかわからないような顔でじっと椎多の横顔を見ている。それを視界の端に感じながら、英二の顔をしっかりと見ることが出来ない。
「そんなわけで、前みたいにここ入り浸るようなわけにはいかなくなりそう。たまには鬱憤晴らしに来ると思うけど」
 1杯を飲み干すと、椎多は立ち上がった。あれだけ居心地がよく何時間居ても気にならなかった店なのに、なんだかいたたまれない気分だ。まるで自分の居場所が消えてしまったように落ち着かない。
 英二にも──何も言えなかった。


「じゃ。次いつ来れるかわかんねえけど。元気でな」


 勘定を済ませてにっこり笑い、扉を開けて外に出る。出たところで立ち止まって天井の電灯を見上げた。

──わざわざ挨拶なんかしに来て、俺は馬鹿か。

 苦笑のように笑いがこみ上げてきた。
 1年先のことも判らずただ破滅的な遊びを繰り返しただけの日々と場所。
 これを後にしたら、もう俺は気楽でバカな学生じゃなくなる。
 その背後で、扉の開く音がした。

 

「──椎多」
 英二がなんだかこの世の終わりのような顔をして立っている、と妙に冷静に思った。 
 英二は椎多を追い越す勢いで踏み出し、椎多の腕を取ってエレベーターのボタンを押した。箱のドアが閉まると同時に抱きしめられる。
 エレベーターの壁に押し付けて乱暴に唇を貪る。それに応えながら、俺は、きっと英二が追ってきて──こんな風にすることを待っていたんだろうな、と思った。

 一か月前のあの日のまま鍵を預かっていたのだろう。英二がポケットからあの、503号室の鍵を出す。メッキの禿げかけた、手垢でくすんだ大きな金属の楕円形のプレートのついた鍵。
 たったひと月前、この部屋のユニットバスで泡まみれになってはしゃいでいたのに。
 その日のことがもう遠い昔のように思えた。


 部屋に入るなり壁に押し付けて立ったまままさぐり合いながら服を剥いでいく。すでに今すぐにでも入る場所を求めている英二のものを口と手でゆっくり弄んでやると、まるでリトルで椎多の顔を見た時から待ちかねていたようにすぐに達して雫をこぼした。そのままユニットバスに連れ込む。
 あの時と同じように泡まみれなのに、どちらもはしゃいだ声を上げることもない。ただ無言で絡んだまま縺れるように繋がると椎多は小さく悲鳴を上げた。石鹸の成分が染みて痛い。手探りで蛇口を捻ると夕立の雨のように熱めの湯が降り注ぐが英二は離れない。湯を止めてタオルを投げつけてやってもそのまま転がるようにベッドになだれ込んだ。

 これが最後かもしれない。
 いや、多分そうなるのだ。
 それを英二も感じている。

 おまえは、俺の中に何か刻み込もうとしてるのか。
 もう二度と会えなくなったとしても、俺がおまえを忘れないように。


 やめろ。
 『アソビ』だと言っただろ。
 どっちかが下りると言えばそれで終わるアソビだった筈だ。
 そんな顔するな。
 そんな目で俺を見るな。
 そんな──泣きそうな顔で──

 

 もうずっとおまえが俺の中で動いてる。何度達しても、すぐにまた復活して。
 いつもみたいにローションもろくに使ってない。どこか切れてるかもしれない。快感なんかより痛みの方が大きい。痛みを堪えながらだからずっとうっすら頭痛がする。なのに、何かの拍子に快感がきて、結局俺も何度も達かされてる。


 くそ、もういい加減にしろ。
 もう──頼むから。

 

 『最後の場面』をそんなに引き伸ばさないでくれ。

 

 何度目か達しても、英二はまだ留まったままだった。
「……いい加減にしろよ。歩けなくなるだろ」
「歩けなくなって帰らなきゃいいんだ」
 やっと交わした言葉はそんなつまらないもので──椎多はなんとか英二の拘束から脱出するともう一度軽くシャワーを浴びて脱ぎ散らかされていた服を身に付けた。
 英二はまだベッドに横たわったまま、見慣れないビジネスマン然としたスーツ姿の椎多を目だけで見つめている。

 全身が怠くて痛い。
 それでもそんなものをまるで感じてないような顔で、椎多は笑った。

 

「『アソビ』の時間は終わりだ。けっこう──面白かったぜ」

 背中を向けるとドアを出る。背後で英二がどんな顔をしているのかを見ることはなかった。
 もう、英二は追ってはこない。
 椎多はエレベーターに乗り、どの店にももう顔を出すことなくこの通いなれた雑居ビルを出た。

 歩くたびについさっきまで英二がいた場所が痛む。
 あの野郎、本当に俺の中に刻んでいきやがった。
 おぼえてろよ。


──いや、もう会うことも無いのか。


 そう思い当たると、別のどこかが痛む気がした。 

 

 繁華街のはずれまで来ると、降りた時とまったく同じ位置に車が停まっている。
 運転席で紫が本を読んでいる。
 時計を見ると、車を降りてから本当に5時間近く経っていた。

──馬鹿がもう一人いた。

 後部座席に乗り込み、横になるが眠れない。父が他界してから休みなしで働いた挙句、残った体力を使い果たしただろうと思うのに、疲れすぎて眠れない。


「着きましたよ」
 ふと気が付くと車が停まっていた。屋敷に到着したらしい。紫がドアを開けて横たわった椎多を見下ろしている。
「そこで朝まで寝る気じゃないでしょう。さっさと起きて降りて下さい」
 のろのろと頭を上げて視線を紫に移すと、やはり眉間に皺が5本くらい出来ていた。


 紫が自分に従うのは、父がそう言い残したからだ。
 だからどんな面倒な命令でも、仕方なく従っている。
 どんな命令でも──


 身体中を支配する痛みが、ちりちりとした苛立ちを増幅させている。
 紫は、父と寝ていたのだろうか。
 父を抱いていたのだろうか、その逆か。
 だとしたら、その時、こいつはどんな顔で父に触れていたのだろう。

 痛みと、苛立ちと、そして何者か正体のわからないモヤモヤに押し潰されそうになって──

「おい、紫」

 椎多は紫を睨みつけた。

「俺を抱け」

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 茜が本の写真とファインダー越しの景色を見比べながら、ここかな?もうちょっとこっちか?とぶつぶつ言っている。


 20年前とおそらく同じ場所からの景色は、大きく変わっていた。
 茜がよく行ったというボーリング場の、大きなピンの形をした看板ももう無い。写り込むビルの形も色合いも、まるで別の街のようだ。


「おまえが高校の頃にこのへんで遊んでたんなら、もしかしたらどっかですれ違ったりしてたかもな」
「すれ違ってないよ、多分」
 何故かきょとんとした顔で振り返った茜はそのままにっと笑った。
「だってその頃だったら椎多さん、今よりもっと『冶多郎君』と似てたでしょ。俺が気が付かないわけないもん」
『冶多郎君』というのは茜が子供の頃から大事にしている古い写真に写った若い頃の椎多の祖父のことだ。
 またしれっとそういう事を言う……と思いながら苦笑すると茜は再びファインダーを覗いた。

「この本のこと知ってたら、これの後も毎年撮ったのになあ、こうなるまでの過程見たかったな」
「自分のカメラ持って写真撮り始めたの最近の癖に何言ってんだ」
 独り言のように言って笑い、椎多もその風景を見つめる。
「資料として会社にならあるぞ。見たいんならプリントさせてやるよ」
「え、ほんと?見たい見たい!」

 椎多が父の後を継いでから、この街の開発にもいくつか関わってきている──が、その資料用と称して実際に関わるようになる前からここからの写真は撮らせていた。職権乱用だがまあ、現実に関わることになったのだから資料としては無駄でもないだろう。
 20年前には真新しく最新の"イケてるスポット"でまだ風景の中でよそよそしかった建物が、今では風景に完全に馴染んで風格さえ感じさせたり、逆に年老いて萎びたように見えたりしている。外観からリノベーションされて新たな建物のように生まれ変わったものもあれば、新しいビルもある。建物が取り壊されてコインパーキングになってしまった場所もある。

 メイン通りから2筋ほど外れた5階建ての雑居ビル。
 あの頃でも十分古ぼけていたビルは、よくここまで取り壊されずに来たなと思うほど老朽化していた。

 このビルのオーナーから、睦月を通じて連絡があったのは先月のことだ。椎多本人との交渉は途絶えていたが、"組"とはそれなりに繋がっていた。
 まだ生きてたのか、と思ったら、いよいよ本人も年貢の納め時だと思っていたらしい。杖をついてもおぼつかない脚でよちよちと歩きながら、頭も口も達者なままのようで、自分はおそらくもうそう長くないので、死ぬ前にこのビルの土地を買い取って欲しい──と言った。この土地をどこへ売る売らないという件で息子たちと揉めて意地になり、自分の息があるうちに自分の思う相手に売りたいとの意向だった。
 売買契約が完了してわずか3日で、オーナーはこの世を去った。夜、おやすみと床に就いて翌朝起きてこなかったという。ちゃんと心残りを整理して締めるとはいい人生だな、と思う。

 そこからすぐにこのビルの店子を立ち退かせ、取り壊す計画と同時に、更地にしたあとに何を建てるかの計画がスタートした。
 来週にはもうビル解体工事が始まる。


 殆どの残っていた店子はすでに閉店したり移転したりしてすでに廃ビルのようになっていた。

 残されていた看板を見ると、3階の歯科や眼科や興信所はもうとっくにどこかへ移転していたようだ。2階のビリヤード場はダーツバーになっていた。麻雀屋はそのままだったようだが、もうもぬけのカラ。占い屋は占い師を複数置いて好きな占い師を選べるシステムで営業していたようだが、ここも取り壊しのためにどこかへ移転していった。
 表のおでん屋はホルモン焼き屋に変わっていた。スナックは別の名前の店だ。いずれもすでに閉店の張り紙が貼ってある。

 1階の奥へ足を進める。


 薄暗い電灯も、ボロいエレベーターも、幽霊でも出そうな真っ暗な階段も。まるで20年前にタイムスリップしたかのように変わっていない。細かく見れば、あの頃よりずっと古ぼけている筈なのに、20年前の記憶はそこまで鮮明ではない。


 エレベーターと階段の向かいに、『バー・リトル』はそのまま佇まっている。
 時刻は21時。看板には何事もなかったように灯りが灯っている。営業中だ。
 椎多が何も言わないせいか、茜も黙って椎多の後ろに立ってその扉を見つめている。
 扉に掌を当て、ゆっくりと押した。

 

 これ、こんなに重かったかな……?

 

 カウンターの中で頭にバンダナを巻いた年配に見える男が振り返った。
「──おう、ご無沙汰」


 連は、1週間ぶりでも5年ぶりでも10年ぶりでも同じようにご無沙汰、と笑っておしぼりを投げる。

 あの、父の後を継ぐためにここを離れた日のあと──
 椎多は2度、ここに来ている。
 紫を殺してしまった直後。
 そして再会した英二が椎多の誕生日を祝うために呼び出した時。
 あれからなら5年ぶりくらいか。
 あの時はまだ、英二とは『アソビ』の延長の関係でいられた筈だった。
 それからたった2年で、俺は英二をめちゃくちゃにぶっ壊してしまったのだ。

 それでも──やはり連は、英二とはどうしたのかなどとは訊かない。椎多が話し始めれば黙って聞いてくれるだろうが、詮索は一切しない。もしかしたら英二はひとりでここに来て連になにかをぶちまけていたかもしれないけれど、だとしてもきっと椎多には何も言わないのだろう。

 昔いつも指定席にしていたカウンターの席にとまる。
 自動的に、英二が座っていた席に茜が座った。
 椎多の顔色を細かく観察していたのだろうか、茜がカウンターの下で椎多の腿に掌を置いている。伝わる体温が椎多の平静さを維持させている。

 ここに茜を連れてくる意味があるのか。
 迷わないわけではなかったが──ひとりで来たらこんなに平静でいられたか自信はない。

 

「珍しいな。おまえが誰かをここに連れて来るなんて。記憶にない」
「昔連さんにもらった写真の本あっただろ?こいつ、最近写真に凝っててさ。それでこの場所に行きたいってごねるから──ぶっ壊す前に連れて来とかねえとな」
「へえ」


 椎多のモルトと茜のバーボンのロックが目の前に置かれる。
 あの頃よく飲んだ安めのスコッチ。グラスを傾けるとその香りに紐づけされた記憶がするすると引き出されていく気がした。それは殆どが20年前の古い記憶で、今更何が痛むでもないが──否応なしにその後のいくつかの『最後』を連れて蘇る。20年前と違って、まだ3年ほどしか経っていない真新しい傷がずきずきと疼く。
 思わず腿の上の茜の手を甲の上から握った。
 痛みから目を逸らすように顔を上げる。

「ここ、いつ閉めるんだ?どっか移転すんのか?」

 連は自分の背後の、昔よりはいくぶん本数の減ったウイスキーの瓶をちらりと振り返った。
「いやもう俺は引退するよ。同じ店でずっとなら惰性でくたばるまで出来そうだけど、今から新しい店なんか作る元気ねえし。そうだこの酒もおまえが買い取ってくれよ。安くしとくぜ」
 このビルと土地を買い取ったのが"椎多の会社"だと──椎多がその会社の社長なのだということも、連は勘付いているのかもしれない。いや、オーナーに聞いていてもなんの不思議もない。

「えっ、いいじゃないですか椎多さん。部屋に立派なバーカウンター作ったくせに俺の酒ばっか飲むのいいかげんやめて欲しいんで」
 はしゃいだ茜の声にうるせえ、と吐き捨てると椎多は茜の頭を叩いた。茜は楽しそうに笑っている。その様子を連がふぅん…とでも言いそうな顔で見ている。
 カウンターの中の椅子に腰かけると連は煙草の火を点けた。
 ゆらゆらと煙が酒瓶の間を撫でるように上がってゆく。

「明日の昼間にここ撤収するよ。ギリギリだったな」

「そうか……」
「昼の3時までに軽トラかなんか持ってきてくれたら本当にこの酒、やるよ。早くしねえとこの近所の連中にいいのは全部持ってかれるぞ」
 ふふ、と笑い声を零すと椎多は上等そうな化粧箱に入った酒を指差した。
「俺、それ1本でいいよ。ガキの頃はさすがにそこには手が出せなかったしな」
「お?お目が高いねお客さん。この店で一番高級なやつだ。ネットオークションでやっと手に入れたんだぜ」
 そう言いながら連は差された箱を手に取るとそれにはそぐわない適当なスーパーの袋に放り込み、はいよ、とカウンターの上に置いた。

「よう、連ちゃん!今日で最後なんだって?来てやったぞ!」
 勢いよく扉が開き、すでに酔っぱらっていそうな中年男が3人、ばらばらと入ってきた。

 椎多にとって──椎多と英二にとってこの店のこのカウンターがあの頃の記憶のフックになっているように、他の常連連中にとっても様々なドラマがあったのだろうな、と思う。

 街はこうしてまた新陳代謝を繰り返しながら成長したり衰退したりするのだろう。
 街の生きざまを見るのが好きだ。
 新しい街を造ってそれが成長していくのを見るのも好きだ。
 新品の時には人工的で冷たかった街が、人の息遣いによって体温を持っていくのが好きだ。
 その一方で人の喜びや悲しみや幸せや痛みや疵や歴史や人生を吸い込みながら年老い朽ちていく街を見るのも好きだ。

 それが好きなのだと気づかせてくれたのも、この場所だったんだ。

「──んじゃ、俺ら帰るわ。俺よりずっとちゃんと通ってた常連がどんどん来るんだろ」
 閉店の餞別にと少し多めに支払うと連は遠慮もせずに受け取っている。
「そうだ、椎多。待てよ」


 立ち上がって扉を開けようとすると少し慌てたように連が何かを投げてよこした。受け取るとそれは、メッキが剥げて手垢のついた楕円形の重いプレートがついた鍵。プレートには『503』と彫られている。


「結局それ、ずっと預かっててさ。俺もたまに物置に使わせてもらったりしてたんだけど」

 掌の中のそれを見つめ、握りしめる。

 にやにやと手招きする連に耳を近づけた。
「昨日掃除したとこだから使えるけど?」
 ぷっと吹き出すと同じように声を潜めて受け取った鍵をカウンターに置いた。
「やりたい盛りのガキだったからあの部屋でもどこでも良かったけど、今更あんな小汚えとこでわざわざやるかよ」
 笑いながら茜の背中を押し、店外へ追い出す。


「おまえ、なんか幸せそうだな」


「うん?」
 カウンターの中から、連の笑い声が追いかけてくる。

「どこも無理しても虚勢はってもなくて、自然体でいられてる感じがする。良かった」

 そうなのかな。
 そう見えるようになるまで、俺は一体何をどれだけぶち壊してきたのだろう。

「ほんと色々世話んなったな。店やんないんならもう二度と会えないか──せいぜい元気で長生きしてくれ」
「おう、おまえもな」

 店を出ると先に出ていた茜が少し慌てたように鞄からカメラを出しているところだった。
「今日が最後なんだったら、マスターと店内の写真でも撮ればよかった?」
「いいよ、そんなの。何にも残さないのがいいんだ。こういう店は」


 そう。
 記憶の中にだけあればいい。
 時々、微かな痛みとともに思い出すだけの風景であればいい。

 扉の正面にあるエレベーターに歩み寄る。
 もうおそらく主電源から落とされているのだろう。どの階にもランプは点いていない。


 これに乗って扉が閉まった瞬間から前戯が始まっているように、俺たちはいつも3分後のことしか考えてなかった。3分後のことだけ考えていればよかった。
 若くて、野蛮で、刹那的で、破滅的で──
 誰でもない、ただの『椎多』でいられた。
 あれはあれで、幸せな時間だったのかもしれない。

 

 ふいに──
 背中に体温がする。
 茜が背中から椎多を抱きしめている。
 肩に顎を乗せて、椎多の頬に唇を押し当てた。

「帰ろ、椎多さん」

 腕を持ち上げて茜の頭をぐしゃぐしゃにかき回すとふう、とひとつ大きく息を吐く。
「そうだな。あんまりのんびりしてたらKにまたグチグチ言われるし」


 あの"最後の夜"に、紫が5時間も路上駐車して待っていた街外れの土地は今はコインパーキングになっている。そこでKが車を停めて待っているはずだ。
 いや、Kのことだからじっと車で待っているわけがなく、多分ラーメンでも食ってパチンコでもやっているだろう。携帯で車に戻ることを知らせておかねばならない。

 『バー・リトル』の扉の中では、笑い声が続いている。
 背中に張り付いた茜を笑って振り払うと椎多はくるりとビルの出口に向かい──

 二度とこのビルを振り返ることはなかった。

​-the end-

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*Note*

書きながら整理していった部分もあるんだけど、最初は英二側視点の段も書いてたんですよね。谷重バーとの関わりとか。シゲさんとの関わりとか。椎多と別れたあと英二がどうなったとか。どこに一番焦点を当てて書いているのかを探りながら書いてて、最終的に「街」というタイトルを付けたことで思い切ってほとんどの英二視点を切り捨てました。これはまた別の話にまとめた方が良いなと思って。椎多と出会ったくだりの段だけは英二視点がメインになってます。

本編を書いている時に、本当に椎多の会社のメインの業種が何かとか全然考えてなくて、とりあえず色んな業種に手を伸ばしてる大企業グループ的なことしか考えてなかったんですが、なんやかや街作りしてる会社っぽかったので大規模な建築とか都市計画に関わるとこがメインなんだろうな~くらいのつもりで。面倒くさくて細かいことを調べたり実際はどうとかそんなの考えてないし設定してないです(酷い)。が、なんとなく街づくりを好きでやってるっぽいような記述を本編の最後の方に書いたことがきっかけで、椎多は父の後を継いで何かやりたいことがあったから頑張ってこれたのかなーなどと思い巡らせてここに辿り着きました。

 バー・リトルでの椎多と英二はこの話の中ではほんとにやってばっかいるんですがまあ、若いしね。椎多が父の後を継ぐからこれが最後だと思って英二に会いに行ったらめちゃくちゃしつこくやられてしまった話は「痕跡」とか「失楽園」で。ちらっと書いていたのを回想としてではなく物語の現在時間のリアルタイムとして書いてみました。

なお、さすがにアラフォーの椎多はやりまくった思い出のエレベーターを見たからって茜ちゃんと今すぐやりたくなるほどじゃないです。帰ったらやってるかもしれないけど。

ちなみに、(1)のプロローグと(2)のエピローグの「現在時間」は「梟」の章のあと、だいたい「年末」の話の前後くらいです。英悟を養子に貰う前くらい。茜ちゃんが写真に凝り始めてまだそれほど経ってない頃というイメージです。

七さんが亡くなった時の様子については「紫-1-」でちらっと書いただけで、つまり紫さん視点でしか書いていなかった。てゆうか成長した椎多と七さんの親子ツーショット自体、書いてなかった。書いてみたらめっさ新鮮だったし、あー、しーちゃん、パパのこと大好きだったんだなーと再確認しました。

(2)に出てくる「俺を抱け」の続きは「痕跡」です。

英二が椎多に怪我させる話は「シルシ」。紫さんを殺してしまった後にふらっとリトルに来た話は「呪文」。再会してなしくずしによりを戻してダブル不倫状態の英二が急に浮かれたサプライズとかやらかしよる話(←言い方)は「祝福」です。​あと、連ちゃん自身の話は、「リトル」にて。

今回は「告白」の章で書いてきた主に「バー・リトル」を舞台にした周辺の話を別目線でいっぱい書いてみて自分でやっと辻褄があった気分になったとことか、やっぱり茜ちゃんが優勝っすね…ってなりました。楽しかったです。

​(2022/3/3)

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