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罪 -17- 火傷

 矢納那美は夜の病院のベンチでぐったりと座り込んでいた。すでに深夜に近くなっていて、外来の待合室は消灯され部分的に灯された照明でうすぼんやりと周囲が見渡せる。


 息子の元が、繁華街でもないどこかの住宅地にある小さな小料理屋のガス爆発だか火事だかに巻き込まれて火傷を負ったと警察から連絡を受けたのはつい2時間ほど前のことだ。駆けつけたもののすでに救急の処置は終わり、元は眠っていた。先ほどまで警察からあれこれ尋ねられてはいたものの、学生アパートに一人暮らししていた元とは月に何度か電話で話す程度で交友関係もそれほど知っているわけではない。答えられることはなかった。
 その小料理屋の店主は火元の近くにいたため即死だったという。元はカウンターから爆発で吹き飛ばされ、着衣に火が燃え移ったが出入口の近くに飛ばされたことも幸いして外へ脱出し、通行人何人かで燃える服を消火してくれた。おかげで吹き飛んだカウンターや食器の破片による軽い怪我がいくつかと、火傷の範囲はそれなりに広いが命に別状があるほどではなかった。
 たまたま元が学生証や免許証を入れていたデイパックが燃えずに済んだおかげですぐに身元がわかり、比較的早く那美にも連絡が届いたということだった。

 しかし命に別状がないと言われても大けがには違いない。
 まだ大学生でこれからたくさん恋愛でもするだろう年頃なのに、目立つところに火傷の跡などが残ってしまったらどうしよう。男の子だからって構わないというわけにはいかない。


 そしてもう一つ、気になることがあった。
 爆発を起こしたというその小料理屋の名前は『恭太蕗』というらしい。そして即死した店主の名は『矢島恭太郎』──

 警察には話せなかったが、那美はその名前に憶えがあった。

 かつて自分も暮らしていた、葛木家の厨房スタッフだった男だ。その頃は厨房でも一番の下っ端で、よく雑用で走り回らされていた。明るくてよく気の付く男で、廃棄されるだろう果物の残りを可愛らしくカッティングしたりしたものをこっそり元のおやつにわけてくれたりしたものだった。


 元は彼に会いにいったのだろうか。
 いや、その頃はまだ元は幼く、彼を個別で認識していたとは思えない。
 繁華街の飲み屋なら偶然彼の店にいたことだってあり得ないわけじゃない。でも、わざわざ訪ねてでもいかないかぎり近所の住人でもない元が彼の店にいるなんてそんな偶然が──あるものなのか。

 元を連れて葛木邸を出てから、那美からは一切葛木家に連絡は取っていなかった。
 先日、執事の早野から当主の紘柾が他界し葬儀があるという連絡はきたがそれも辞退した。

 そんな場に、あたしのような昔の愛人が行っていいわけがない。
 しかも、あたしがあの方の愛人だったのがまだ初潮があるかないかの小学生から中学生だった頃のことだなんて、しかもそんな頃に妊娠して子供を産んでいただなんて、もし世間にばれでもしたらどうするというのだろう。奥様にも合わせる顔がない。
 それに──
 さすがにもう三十代になって、生活のためにきっと年齢よりくたびれてしまったあたしを。
 "彼"に見られたくなかった──。

 

 葛木紘柾は元を自分の籍に入れようとしたが、自分の産んだ子を引き渡す事のような気がしてどうしてもそれを飲むことはできず、16歳に満たない那美の出産した子供は那美の親──幼い娘を富豪に差し出すような親だったが──の戸籍に入れられた。戸籍上は元は那美の弟ということになっている。その後すぐその両親は事故で亡くなったため、いずれにしても紘柾が那美と元を養っていた。

 元を連れて屋敷を出たあとの那美は他のあらゆる援助を辞退し続けた。元を鍵っ子にするのは可哀想だったが、戸籍上は弟だったため『幼い弟を抱えて両親を亡くした健気で可哀想な娘』と同情されながら働くことは出来た。しかし当然ながら生活は常に困窮していた。

 母が自分を負担に感じる存在だということをどこかで気づいていた筈だったのに、元は反抗的になるでもぐれるでもなく、本当にいい子に育ってくれたと那美は思う。

 葛木邸を出た後、那美は決して訪ねるどころか連絡すら取ってはいなかったけれど。

 元はその後もたびたび屋敷へ遊びに行っていた。

 屋敷に居た頃から葛木家の長男、柾青にとても懐いていた元。彼に会うために元は葛木邸へ行っていたのだ。しかし那美はそれを止めることは出来なかった。

 おそらく彼と接していることで、元は自分の身の上を拗ねたりぐれたりすることなく素直に育ってくれたのだろう──那美はそう感じている。

 屋敷に居た頃には腹違いの兄だなどということも知らずに、元は身体の弱い柾青の車椅子にまとわりつくように遊びをねだっていた。その頃まだ小学生か中学に上がるばかりの年頃だったのに、柾青は那美に対してもとても穏やかに紳士的に接してくれたものだった。
 元がなついて柾青と遊びたがるのを口実に、那美もまた柾青に会うのが楽しみになっていた。那美は高校生、柾青は中学生の年頃である。本来なら那美からみればまだほんの子供だ。

 わたしはちゃんと初恋もせずに旦那様のものになってしまって、子供も産んでしまった。
 だけどきっと頭だけは中学生のまま、初恋を待っていたんだと思う。

 「初恋」というものに憧れたままでいた。
 普通に成長していたら自分にとっては全然こどもだったはずの柾青さんのことを。
 まるで自分も中学の同級生になったみたいに。

 

 "好き"になってしまった。

 

 だから──
 あそこに居るのがつらくなってしまったのだ。
 旦那様は、元の手が離れるまで遠慮せずに屋敷に居ていい、もし大学などに行きたいなら行かせてあげると言って下さっていたのに。
 わたしの好きな人がわたしを、これは自分の父親に抱かれていた女だという目で見ている。
 それが耐えられなくなったのだ。

 

「矢納さん、おまたせしました」
 医師がかけた声で那美の回顧は中断した。
 生命の危険はないが、軽度でも範囲が広いこと、部分的に深部に達している箇所もあることから日常生活に戻るまで暫く入院になると告げられた。経過や部位によっては皮膚移植も選択肢に入れた方がいいかもしれないという。


 どうしよう。

 

 そんなに長い期間入院させるようなお金がない。

 恥ずかしい話だがまだ若く健康でほとんど病院にかかったこともなかった元に保険などかけていなかった。息子が大けがをしたというのに、それを治すために支払うお金が借金でもしなければ作れない。

 あたし、なんて情けない母親なんだろう。

 そのまま連れて帰って寝させておこうか。いや、自分も働かねばならない。つきっきりで火傷の面倒を見るなんて難しい──


 途方に暮れて頭をよぎったのは、柾青のために屋敷に看護婦を常駐させている葛木邸のことだった。


 当主の葬儀も無視した不義理な女の頼みなど聞いてくれるだろうか。
 いや、元は今でも柾青と懇意にしていると聞いている。
 それなら何か対処してくれるかもしれない。

 迷っている暇はなかった。

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 それは、新しい看護士が来た日のことだ。

 柾青のために常駐させている看護婦は基本的には長くても約1年ごとに交代している。若い看護婦にはもっと病院での経験を積まさなければならないし、ベテランならすぐに定年の年齢に達してしまう。また、他にも困った理由がありあまり長いスパンで担当してもらうことは避けるようになっていた。

「幡野暎です。よろしくお願いします。アキラって呼んで下さって結構です」

 まだ若い、学生のような快活な青年が頭を下げた。
「へえ、男の子。珍しいね」
「まだ少ないんですよね、看護士……男性の看護婦ですけど。うちの病院では僕ひとりです」
 これまでの可愛いらしい若い看護婦たちと同じようににこにこと"可愛らしい笑み”を顔に貼り付けて暎は言った。

 ああなるほど、男性に看護”婦”と言うのもおかしいから看護”士”なのか。

 

「その貴重な男性のナースをこんなところに幽閉していいのかな?」
「この期間住み込みでいいって聞いたので、僕としてはとても助かります」
 暎の正直なもの言いに小さく吹き出すとソファから立ち上がりゆっくりとベッドに戻る。暎がそれにつき従う。
「ここの仕事、多分基本的には退屈すると思うから、退屈しのぎになるもの何か持ってきておいた方がいいよ。僕が具合悪くなったら途端に忙しくなると思うけど。あ、注射が下手なのは勘弁してよ。何年か前にいた子は下手くそで両腕いつも内出血で青くなってたんだから」
 冗談だと思ったのか、暎は笑っている。柾青にとってはまあまあ重要な問題だ。


 毎年看護婦を派遣してもらっている病院からあらかじめ送られてきていた身上書に再度目を通しながらちらちらと暎の顔を観察する。

 

──なるほど。

 

 名前でもしや、とは思っていた。

 ”本人”には会ったことは無いが、写真で見て”なるほど”、と思った。
 しかしそれについては柾青からは触れないことにした。詳しい経緯や真実は柾青も知らないことで、そんな中途半端な情報でむやみに藪をつついて蛇を出したりするものではない。

 

「──以前ここに勤めてくれてた先輩ナースたちにはここの評判は聞いてきたの?ボロクソ言われてたんじゃない?」
 あー、と暎はとぼけるような顔をして視線を天井に向けた。その顔だけで、まあまあ酷く言われていたのだろうことが察せられる。


「まあね、ここが大きな屋敷だからうちがよほどの資産家だと思ったのかもしれないけどなんとか僕と結婚しようと正攻法で頑張った娘もいたし、既成事実を作ってやろうとしてそこで裸になった娘もいたし、かと思えばねちねちと嫌味ばっかり言ったり、わざと痛い注射を打ったりする人もいたしまあでも合う合わないはしょうがないよね。殺されなかっただけまし。だから短いスパンで交代してもらうことにしたんだ。さて、酷い評判とどっちを信じるかは君の自由だけど」

 

 患者の愚痴にあぁ、そうなんですね、と納得のいったような呟きを落としている。もしかしたらそういう事をしそうな先輩の顔を思い浮かべているのかもしれない。顔が少々にやけている。
「この間までいてくれた千野さんは肝っ玉母さんみたいで、うちのメイドの和江とも仲良くしてくれてたし何の気遣いもいらなかったから2年くらい勤めてもらったんだけどね。残念ながら急に親御さんの介護が必要になって退職してしまって。それで新しい人を頼んだんだけど、お年頃の女性は避けてあげて下さい、僕がセクハラしますよって言ってやったら君が選ばれたというわけさ」
「葛木さん、セクハラとかするんですか」
 暎は今にも吹き出しそうな顔をしている。

 同じように笑いながら柾青でいいよ、と言うとベッドで座らせていた身体をごそごそと布団の中へ潜り込ませ、枕の角度を調節した。
「ごめん、ちょっと喋りすぎて疲れたから昼寝するよ。執事の早野とメイドの和江にこのうちのことを教わってくれたらいい。ここは食事だけは美味しいから楽しみにしてて」

 ぺこりと頭を下げて暎が部屋から出ていくのを見送ると柾青は再びベッドから起き上がり、枕をクッションにしてもたれかかり座った。
 暎が挨拶に来る少し前──昼過ぎだったか。

 元からかかってきた電話のことがずっと胸の奥で気がかりになっている。

──あのさ、『おじょうさん』にくっついて歩いてた子。男の子。いたの覚えてる?

──そいつが今どうしてるかって知ってる?

──じゃあ、今あんたんち、昔みたいな制服とか黒服の警備の人っているの?

 この屋敷に居た人間について元がこれまで尋ねることは一度も無かった。
 表には出さないが、自分の母親がまだ幼いといっていい年頃にこの屋敷の主人の愛人にされていたことはおそらく元の心には大なり小なり何かしらの疵を与えた筈だ。これ以上、この葛木家の”闇”について少しでも触れたくなくてあえて踏み込まずにいるのだろうと思う。

 

 それでも、元は柾青に会いに来ることだけはやめずにいてくれた。
 同じ父親を持つ兄だとは思いたくない、などと言われても仕方ないのに。
 もう今では自分の世界を持っている子だ。

 本人が意識しようがしまいが、自然に離れていってもおかしくないのに。
 あの子は嫌そうに振る舞いながらも、それでも会いに来てくれる。

 

 元。
 君は知っている?
 君が僕の退屈で苦痛しかない人生に、どれだけの彩りを与えてくれているのか。
 だから僕は、君のために何が出来るのか。何をどれだけ残せるのか。
 それだけをずっと毎日考えているんだよ。

 元の頭の太陽の匂いを思い出すように鼻からすうっと大きく息を吸う。

 元は何を気にしていたのだろう。
 昔この屋敷で犬の世話をしていた少年。僕は犬に触れるとアレルギーが出てしまうからあまり接点がなかった。青乃が可愛がっていた少年だということはなんとなく覚えている。僕が遠目に見た限り、青乃と彼は僕などより何倍もきょうだいに見えた。仲のいい姉と弟のようだった。
 彼はちょうど元と同じくらいの年だった。元とその母親の那美がこの屋敷を出て行ってから元がひとりで遊びに来てくれるようになるまでの何年かの間、彼を見て元はあのくらいの背丈になったのかな、などと思っていたものだった──


 殆ど忘れていたような古い記憶が一本の糸からするすると蘇ってくる。

 

 元はもしや彼に会ったのだろうか。
 何故今頃になってあんなことを尋ねてきたのだろう。
 いつものような、嫌々だけど結局来てくれる時のようではなく、きっぱりと迷いなく今日も明日も無理だと断った。
 あれは何の含みもなく、素直に、僕の用事よりも大事で急ぐものを抱えている対応だ。

 

 ぐるぐると考えを巡らせても所詮それ以上の情報が無い以上、発展させようがない。
 やむを得ず考察を中断すると柾青はベッドを離れデスクのPCの電源を入れた。時計を見ると、思ったより長く考え事をしていたらしい。外は夕暮れで暗くなり始めていた。

 

 内線電話が着信を告げたのはすでに深夜に近い時間である。
 空腹にならないから夕食も摂らずにPCの作業を続けていたが、ちょうど暎がここへ来た最初の仕事である就寝前のバイタルを測りに来たのを合図にしてベッドに戻ったのがつい1時間ほど前だ。

 通常はこんな時間に早野であれ和江であれ内線電話を鳴らしてくることなどはない。
 電話に出ると相手は早野だった。
 少し戸惑ったような、遠慮がちな──早野にしては珍しいトーンの声だ。

「只今、那美さま──元さまの母上の那美さまからお電話が入っておりますが、いかがいたしましょう」
「那美さん?え、あの那美さん?わかった。出るよ。繋いで」

 

 元の母親の那美のことはよく覚えている。
 しかし彼女と元がここを出てからは、那美本人にはあれ以来会ったことも電話で話したこともない。確か和江が、父の葬儀の時も声だけはかけたが返事が無かったと言っていた。

 那美が、しかもこんな時間に電話をよこす──

 ざわっと悪寒がした。体調でも発熱でもなく、おそらく嫌な予感というやつだ。

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 『恭太蕗』焼失当日の深夜、那美が柾青に電話で依頼したこと。
 それは、病院への入院ではなく元を葛木邸で療養させてくれないか、あるいは入院費用を借りることはできないか、ということだった。

 元がガス爆発と火事に巻き込まれて怪我を負った──
 大袈裟でも比喩でもなく、一瞬意識が遠のいた。冷や汗が止まらない。動悸もおさまらない。なんとか意識を繋ぎ留めながら、落ち着くよう自分を叱咤しながら、那美の話を一通り全部聞いた。
「命に別状はないんですね?」
 何度も繰り返し、同じことを訊いた。
 那美は電話の向こうでその度大丈夫です、と答えた。
「元はうちで預かりましょう。すぐに手配します。少しだけ待って下さい」
 那美のすぐ連絡の取れる電話番号を尋ね、一旦切る。
 さて。
 元を引き取ると即答したもののどうしようか。この屋敷に病人用のベッドなど自分が使っているものくらいしかない。買い換えた時にはしっかり下取りに出しているから余分なものはない。寝かせたまま搬送する車もない。病院から病院の搬送ならいずれかの病院が所有している病院車を使えば良いが、規模はともかく個人宅だ。こちらで手配した方が良いものか──
 血の気の引いた頭でぐるぐると考え、とにかくこの深夜に何の手配が出来るわけでもあるまいと一旦床に入った。
 一度保留してまた朝になったら考えよう──結局一睡も出来なかったのだが。

 カーテンの向こうが明るくなってきたのを感じると柾青は重い頭を持ち上げ、窓を開けて外の冷たい空気を吸い込んだ。案の定噎せ返ってはしまったが少し切替えが出来た気がした。9時半まで待って、最近何度か掛けている番号をコールする。
 この相手には以前は会社へ電話していたが、近頃なにかと話し合う機会が増えたので携帯電話の番号を教えてくれた。面倒なステップが無くなったのはありがたい。
 『義理の弟』は朝から穏やかでありながら快活さを失わない、ちょうどいいテンションで電話に出た。いつかけてもこの義弟は電話の調子が変わらない。よほど猫を被るのが上手いのだろうと思う。
 要点をまとめてこちらの頼みを伝えると、驚くほど快く引き受けてくれた。
 現在入院している病院から葛木邸へと元を移送する車と、それに携わる人員を数名。それから医療用のベッド1台。
『残念ながらうちは医療方面にまだ弱くて私のツケですぐに入れてくれる良い病院だとか日本一の熱傷専門医とか、そういうものはすぐに手配するのは難しいのですが、設備や車と人員くらいならいつでも言って下さい。ああ、今すぐとはいかないがうちの主治医は以前大学病院の客員教授も務めていたのでどこかに専門医のコネくらい持っているかもしれない。確認します』
 まるで柾青からこんな頼み事があると予想がついていたかのように澱みなく対応する。

──予想がついていた?
──まさかね。

 あまりにスムーズに話が通ったのを訝しんでいるのが伝わったのか、義弟は電話の向こうで笑った。
『庶子とはいえ、彼も私にとっては義理の弟にあたるわけでしょう?出来るだけのことはさせて頂きますよ』
 どこまで信用して良いのか計りかねる空気を持った男だが、頼ったのはこちらだ。すぐに対応してくれたのはありがたい。
 現在入っている病院の対応との調整もあり、実際の搬送は翌日の午後と決まったがベッドはその日のうちに届けられた。新品ではないがうっかりした病院のベッドよりは新しい。届いたベッドは柾青の指令室、隣に設置させた。どうせ自分はずっとここにいるのだから、様子を観察するのにはちょうどいい。回復してきて本人が嫌がれば別の部屋をあてがってやればいいだろう。
 妹の青乃はこの夫と全くうまくいっていないようだったが、なるほど仕事は出来る男だと思う。信頼する範囲を取り違えなければ、最近やりとりしている件についてもこの義弟に話を持っていったのは間違いではなかった。
 ベッドメイクをしている暎の手つきを眺めながら柾青はようやく少し落ち着きを取り戻していた。
「ここの仕事に慣れる間もなくいきなり忙しくなりそうだけど、悪いね」
「大丈夫です。患者さん2人なんて忙しいうちに入りませんよ」
 暎はやはりにこにこと明るい笑顔を貼り付けていた。

──この子の笑顔は少し嘘くさいな。

 わけもなくそう思ったが、これから1年ほどは世話になる予定の看護士だ。あまり疑ってかかるのもよくないと思いなおした。

 そしてまたよく眠れない夜を過ごし──時間が過ぎるのが遅すぎるほどなのに他にも何も手に付かない状態で、ようやく元を乗せた搬送車は到着した。

​ 火事の翌々日の午後、夕刻に近い時間である。

 

 まだ諸々の資金繰りに困る前に父が設置させていた家具運搬用のエレベーター。現在も柾青が車椅子で移動する時に使っているがもとは家具運搬用だったことが役に立ち、元はストレッチャーに乗せたまま柾青の部屋へ運ぶことが出来た。

 声をかけようとしたが元は眠っているようだった。移送によって傷口が痛むからと痛み止めを打ったためだろう。

 頭の左側と左頬にそれぞれ大きなガーゼとそれを抑えるネット包帯。おそらく身体のいたるところにガーゼが貼り付けてある。それを見るだけで自分が何か怪我をして痛みを感じているように背筋がきゅっと引き締まる。

 ストレッチャーをエレベーターに乗せて見送ったところで柾青はようやく那美の姿に気が付いた。

 

 目が合うと那美は腰を直角に折って頭を下げた。

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「ご無沙汰しております──この度は本当に───」
「もういいから。まずは座って落ち着いてお茶でも飲んで下さい。和江のお茶、久しぶりでしょう?彼女もベテランになってもっと美味くなってる」

 顔を真っすぐ上げることも出来ずに那美は柾青に続く。どうぞ、と促されて座り心地のいいソファに浅く腰を下ろした。
「本当に……あたし、ずっと不義理をしてきたのにこんなによくして頂いて……」
「何言ってるんですか。元のことで僕に相談してくれて嬉しいですよ。もう那美さんはうちとは完全に縁を切りたがっている、元がここに来ることも良く思っていないのではないかと思っていたので」
 和江は運んできた紅茶を注ぎ分けながら何か言いたそうだったが、珍しく空気でも読んだのかそのまま黙って下がっていった。
 那美はまだ顔を上げることが出来ずにいる。

 本当なら出来ればあなたには会わずに元をお願いだけして帰りたかった。

「──那美さん」
 自分を呼ぶ声に一旦目をぎゅっと瞑り、それから思い切って顔を上げる。


 当たり前だけど彼はすっかり大人の男性になっていた。やはり車椅子に乗ってはいるし折れそうに細くはあるけれど、骨格もちゃんと大人の体つきだ。声も、あの頃はまだ声変わりしたての少年の声だったのが、少し低音の、聴き心地のいい声。
 中学生の少年だった彼は、もう三十歳手前の大人の男性になった。あたしももう自分の見た目を磨く暇も余裕もなく働いてちょっとくたびれた大人の女になってしまった。
 もう、あの初恋の頃とは彼も私も違う。

「あなたにどうしても言っておかなければならないことがあります」
 言葉は優しいけれど、一体何を言われるのか不安になって、ソファから滑り落ちそうなくらいぎりぎり前に出る。

 父が他界して、僕がこの家の主になりました。
 だから僕が父の代わりに、主として謝ります。
 父の愚かな行いのせいで、あなたの人生を滅茶苦茶に狂わせてしまったこと。
「本当に──申し訳ありませんでした」

 ソファの向かい側で、柾青は車椅子に座ったまま、身体をきっちり折りたたんだように頭を下げた。柾青からそのような謝罪をされるとは思っていなかった那美は慌てて腰を浮かせる。

「え……やめて下さい。柾青さんが悪いんじゃないのに。そこまでして頂かなくても」
「いいえ、僕は葛木家の当主として、先代が犯してきた罪には何かしらの償いはしたい」


「そうよ。遠慮なく償ってもらいなさい」

 

 弾かれたように声の方を向くと、いつのまにか応接室の入口から柾青の母──先代の未亡人、靖子が顔を覗かせていた。おくさま、と小さく叫んで飛び上がらんばかりに立ち上がり再び頭を下げる。
「那美さん、そんなに怯えないで。あなたは紘柾の被害者なの。もっと厚かましく慰謝料を寄越せだとか騒いだっていいのよ。あなたにはその権利があるわ」
 靖子は優雅にゆっくりと近づいて那美を座らせ、その隣に自らも座ると那美の背中をそっと撫でた。


「あなたには本当は、普通に学校で友達と楽しく過ごしたり、素敵な男の子に恋をしたり、何か趣味に夢中になったり、テレビで見る芸能人にきゃあきゃあ言ったり、そんな青春を過ごしてから大人になる道がちゃんとあったはずなのよ。それを取り上げたのは紘柾だった。まあ、偉そうに言ったけど高額な慰謝料をお支払いできるほど当家も資産はなくてね、ただこれからだって少しくらいは援助を受け取って頂いてもかまわないのよ。遠慮なさらないで」

 奥様はあたしを憎んでいるのだと思っていた。だってあたしは旦那様の愛人だったし子供まで産んでしまったんだもの。

 

 驚いたように靖子の顔をまじまじと見つめていると靖子はふふっと声を立てて笑った。
「だって、あなたはわたし。わたしはあなたなの。ただわたしはあなたより少し早く紘柾につかまっただけよ。あなたが『奥様』になってたかもしれない。もうあのひとはいないの。何も気兼ねしなくていいわ。あなたさえ良ければわたし、あなたとお友達になりたいくらい」


 母さん、と少し呆れたような柾青の声がする。
 靖子は肩をすくめて息子へ微笑みを投げた。
「あらごめんなさい。当主のお言葉を遮ってしまって。わたしは失礼するわね。那美さんはお疲れでしょう。ごゆっくりなさって。なんなら元さんを見守るために好きなだけ滞在して頂いてもいいわ。でしょ、柾青」
「まいったな。僕が主になったと言っているのに、実質仕切っているのは母さんだということがばれてしまうじゃないか」

 奇妙なほど朗らかな笑い声をこぼし、ごめんあそばせ、と退出していく靖子の姿を不思議なものを見るように見送る。自分が恐れていたものとは全く違う対応をされて那美はただ戸惑っていた。

「話が中断してしまったけど──那美さん」

 柾青の声に慌てて正面に向き直る。

「父があなたにした仕打ちについては本当に心からお詫びしたいと思っています。でも、それとは別に──」

 一瞬、柾青の目が潤んでいるように見えたのは気のせいだったのだろうか。

「元を産んで下さって本当にありがとうございました」

 このひとは──

 元、とあたしの子の名を口に出す時に、なんて優しくて、なんて愛おしそうな顔をするんだろう。

 

「あの子が存在して、こんな僕に会いに来てくれる。それだけで僕はこんな身体でもいまだに永らえていられて良かったとそう思えるんです」

「そんな……よして下さい。あたしは……」

 

 あたしは。

 あの子を産んでしまったことを後悔してた。

 妊娠してしまったことは自分のせいではないけれど、それはあたしにとって不幸なことだと思ってた。

 このお屋敷を出たあともいっぱい苦労したのはあの子を抱えていたせいだって心のどこかで思ってた。あの子がいなければ自分はきっと少し遅くても青春をやり直すことが出来たはずだと。

 愛しく思う時と疎ましく思う時の振幅が激しかった時は、いっそこの子をおいて何処かへ逃げてしまおうかと思ったことだって何度もある。

 結局愛しさが勝ってなんとかあの子につらく当たったり実際捨ててしまったりせずにすんだけど、あたしにはあの子に対してそう思ったことがあるという負い目はずっとある。

 それなのにあの子がぐれもしないで素直で優しい子に育ってくれたのは──

 きっと、柾青さん、あなたが。

 あの子の存在をそうやって愛してくれていたから。

 そのおかげであの子は、自分が存在して良いのだと信じることが出来たんだ。

「お礼を言わなければならないのはあたしの方です……」

 自分の顎の先から、ぽたりぽたりと雫が落ちるのを感じた。どうしよう。涙が止まらない。

 

 那美が落ち着くまでじっと黙ってそれを見守っていた柾青は、涙が止まるのを見てとると再び口を開いた。

「ひとつ僕から提案があるのですが、聞いていただけますか」

 提案──?

 返事をせずに首を傾げて次の言葉を待った。

 柾青の不思議なほど晴れやかな微笑みがいやに目につく。

「那美さん、僕と結婚しませんか」

 え?

 何?

​ 柾青の言葉の意味が取れず、那美はただぼかんと口をあけて車椅子の初恋の相手の顔を見つめるしかなかった。

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 元はまだ寝息を立てている。

 隣の自分のベッドに横になったまま、柾青はその顔をみつめていた。

 この2日ばかり、色んなことがありすぎた。ろくに眠れてもいない。安心して気が抜けたせいか一気に疲れが出た気がする。そろそろ熱が出たり湿疹でも出るかもしれない──

 のろのろと起き上がり、元のベッドの余白に腰を下ろす。

 

 元が目を覚ましたら、今度こそ寝よう。

 だから早く目を覚まさないだろうか。

 手を伸ばして、ガーゼの貼られていない右頬を数本の指の腹で辿る。思ったより冷たくて指がぎくりと止まった。確かめるように同じ箇所を今度は掌全体で包むように撫でる。

 元の太くてはっきりした眉毛が、苦しそうに寄るのが見えた。声にならないような声で、いててて……と言いながら元はうっすらと目を開いた。

「おはよう」

 

 こみあげてくる笑みが隠しきれずにいると元は少し不思議そうな顔になった。

「あれ、ここどこ」

「うちだよ。うちの屋敷。病院からここに移るって、聞いてなかったの」

「ああ……病院移るみたいなこと言ってたっけ……」

 いて、いててと合いの手のように挟みながらぼんやりと言う。それすら嬉しそうににこにこと微笑みながら柾青はそれを見下ろしていた。

「火傷は重傷なほど痛みを感じないって言うから、痛いのは軽いからだよ。我慢して」

 ようやく目が覚めてきたように目をぱちぱちさせながら、元は上から覗きこむ柾青の顔を見上げて少し口の端を上げる。

「いつもと逆だ」

 右頬を撫でていた柾青はガーゼだらけの首から下に触れないように身を乗り出すと元の頭を両手で固定し、ネット包帯に囲まれた元の頭に鼻先を埋めた。

「だから、やめろって」

「臭い。焦げ臭いし、お風呂入ってないからへんな臭いがする」

 元が笑っている。その合間にも小さくいてっ、と挟まってくる。

「臭いんだったらやめろよ」

「でも、生きてる匂いだ」

「なにそれ」

 

 生きてる匂いだよ──

 元の頭に鼻を埋めたまま、額に唇を当てた。元が目を閉じたのがわかる。

「やめなって」

 ほとんどその距離のまま顔をずらすと鼻と鼻がぶつかる。元の大きく黒い瞳が視界に入ったけれど近すぎてピントが合わない。

「ねえ、近いよ」

 それでも笑い含みの声を、そのまま自分の口で塞いで飲み込んだ。

 小さく何度か唇を啄んで顔を少し離すと元はゆっくりと目を開けた。

「……どしたの。何泣いてんの」

「え?」

 言われるまで気づかなかった。

 今も、柾青の目から流れていたそれがぽたりぽたりと元の顔の上や喉へ落ちて流れている。

「あんたも泣いたりするんだね。初めて見た」 

「怖かった。怖かったんだよ」

 君が、僕より先に死んでしまったらどうしようって。

 怖くて怖くて、このまま僕の心臓が止まってしまうかもって──

 思わずキスなどしてしまったというのに、元は慌てもせず、むしろ嬉しそうでもあるかのように目を細めた。

「俺の気持ち、ちょっとはわかった?」

 だったらもう二度と言わないでよ。

 『僕が死んだら』なんて。

 あんたがそんな風に言うたび、俺はあんたがいなくなった世界のことを想像しなきゃいけないんだよ。そんなの考えたくない。

 目を細めて嬉しそうだった顔が泣きそうに歪む。

 ごめん、と言うと元は口を開き、柾青のそれを包み込むように吸いついてきた。目を閉じてそれに応えるとさらに奥へ侵入してくる。絡め合いながら互いの息づかいが乱れてきたところで柾青はようやく元の顔から離れて身を起こした。

「君が怪我人だってこと、忘れるところだった。悪い子だな」

「最初そっちからしたくせに……なんの拷問なのこれ」

 少し気まずげに笑うと柾青はベッドからも離れた。わずかに動く指が柾青の手を取ろうとしたがそれをやんわりとふりほどき、自分のベッドへ戻る。

 動悸がおさまらない。

 火事の事を聞いた時の動悸とは全く別の動悸だ。

 身体に悪い。なんだかこのあと1週間くらい寝込んでしまいそうな気がする。

 まるでタイミングを計っていたようにノックの音がした。

「失礼します、暎です。あ、元さん起きました?ガーゼ取り替えますね」

 にこにこと笑顔を貼り付けた暎がてきぱきと患者衣の胸を開き、作業を始める。元の下半身の状態を、暎は見て見ぬふりをしてくれたようだった。元はやはり痛い痛いと訴えたが、それも聞こえていないように作業は続けられる。その暎の手元を柾青は隣のベッドで眺めていた。

 一通りガーゼの交換を終えると暎は今度は柾青のもとへやってきて、バイタルを記録していく。

「心配事が多かったせいもあるんでしょうけど、もう安心して寝て下さいね。数値があまり良くないです。どうしても眠れないなら向精神薬でも出しましょうか」

「明日まだ調子が悪いようなら何か対応してくれればいいよ。眠るための薬はやめとく」

 ここへ派遣されている看護婦はある程度主治医から自分の裁量での薬の処方や注射などの対応を許可されている。ただ、柾青も伊達に子供の頃から看護漬けだったわけではない。多少の不調程度なら来て間もない暎よりも自分の身体のことはよくわかっている。

 暎はにこやかに、しかし機械的に仕事を済ませるとぺこりと頭を下げて退出していった。

 暎がいなくなると途端にしん……と沈黙の音が聴こえるような気がした。

「──あの店の大将、即死だったんだってね」

 自分の怪我──火傷はもちろん打撲や細かい裂傷もある──を見ていて、爆発の直前に何があったのかを元は思い出し始めているようだった。

「あの日、君は何しにあの店に行ったの。もともと知ってる店だった?」

 かつてこの屋敷の厨房に勤めていた矢島恭太郎の店。

 繁華街に近くもない住宅街の中の小さな店だ。わざわざ訪ねなければ飛び込みで入る種類の店ではない。

「あの犬の世話をしていた少年──紋志とかいう彼と関係のあること?」

「紋志はたまたま同じアパートに住んでたんだよ。向こうはたぶん俺には気づいてないから普通に友達付き合いしてた。あの店にも、ここで育ったんだよって一度だけ連れて行ってもらったことがあった。あの恭さんって大将がこの屋敷にいた人だとか俺の母ちゃんのことも知ってたとか、俺は全然覚えてなくて。あの爆発の前に聞いたんだけど」

 おそらく元は記憶を懸命に整理しながらなのだろう。時折口を噤んだり目線を遠くへ投げたりしながらゆっくりと話している。

「今日って何曜日?一週間くらい前になるのかな──紋志と、俺と別のダチと。何人かで飲みに行こうとしてて。俺が店を探しに行ってる間に紋志がいなくなった」

「いなくなった?」

「ダチの言うには、怪しい黒服が来て紋志に話しかけてて、しばらく話し込んでたと思ったら紋志が急用が出来たから自分は飲みに行けない、ごめんって言ってその黒服について行ったんだって。それから紋志は帰って来なくて。次の日から職場にも学校にも行ってないらしくて。さすがに心配になって、で、あの店のことを思い出したんだ。もしかして黙ってあの家に帰ったのかもと思って。でも帰ってなかった」

──じゃあ、今あんたんち、昔みたいな制服とか黒服の警備の人っているの?

 まさにその火事の日の昼、元が電話で尋ねてきたことを柾青は思い出していた。

 なるほど、そういうことだったのか。

「俺、あんたに電話しようとしてたんだよ。あの店の電話から。『おじょうさん』の嫁ぎ先にそういう黒服みたいな連中がいたりしない?って」

 その電話を掛ける直前に、爆発が起こったのだ。

 黒服か──。

 生憎、柾青は嵯院邸には行ったことがない。

 義理の弟の椎多とは最近電話では話しているが、青乃との結婚の前に一度挨拶に来られてこの屋敷で以降は会ったのは先日の父の葬儀の日くらいだ。葬儀の日には嵯院邸の人員も借りたし嵯院自身のボディガードも着いていたが、彼らが普段から黒服なのか、葬儀だから黒い上下を着ていたのかは判断がつかない。

 ただ、黒服かどうかは別として──紋志をその黒服の男に特に拉致されるようでもなくただ着いていったのだとすれば。

 青乃が紋志を呼んだのだ。おそらく。

 青乃と嵯院椎多が夫婦として、家族として全く機能していなかったとしても。かつて実家の屋敷で仲良くしていた弟のような少年とはいえ現在は大学生の一人前の男だ。それを主の妻がわざわざ呼びつけるような真似をするものだろうか。

 元の顔をじっと見つめる。それはただの友人思いの若者の顔をしていた。

 直観的に柾青は、紋志の件にはこれ以上元を関わらせてはならないような気がした。嵯院はまだ柾青にとっても、全面的に味方だと信用しかねる得体の知れない相手である。

「わかった。僕のわかる範囲で調べるように手配するよ。でも君は暫くその傷を治すことに専念しなさい。今はじっとしているのが一番早道だから。自分で調べたり探したりしたいなら言うことを聞いて」

 おそらくもう関わるななどと諭しても、元は無茶をしてでも関わろうとするだろう。関わっている気分にさせておいて時間稼ぎをした方が利口だ。

 さて、どうしたものか。

 これはまた眠れそうにないな、と柾青は思ったが──

 さすがにこの夜は、メイドの和江が消灯に来る前に深い眠りの淵へと落ちていった。

 

 

Note

さてもんじとユースケはさておき(さておくのか)、まさお兄さんと元ちゃんの話です。​

てゆうか、元の母親の話なんかこれっぽっちも考えていなかったのに、やっぱりキャラに名前つけると走り出すものですね。急に那美さんのことをしっかり書きたくなって、はさんでしまいました。

てゆうかまさお兄さん、いい話かと思いきや何を考えて那美さんにプロポーズなんかしたのか?プロポーズしたその多分同じ日に、もしかしたらそのプロポーズの相手が同じ屋敷の中に滞在してるのに、元ちゃんになんか悪さしてるし(悪さとは)。それはともかく多分ちょっと傷が治ってきて動けるようになったら元ちゃんタガ外れますね、こりゃ。

ちなみにこの話は1997年ごろの話なので「看護師」という言葉で統一される前、男性の看護婦(?)が「看護士」と呼ばれていた頃のことです。ややこしい。男女関わりなく「看護師」に統一されたのは2000年代に入ってからです。

​えーと兄さんは椎多ともなんか悪だくみ(別に「悪」だくみではない多分)してるし、もちろん今後も活躍すると思いますが一旦兄さんと元ちゃんの話はここまで。(2021/10/8)

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