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康 平

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 東出昌平は、もうすでにいい年になっていたがあえて出世を拒んでいたという。


 誰かの身代わりで塀の中へ入ること四回、普通なら幹部のバッヂをつけていてもおかしくない。しかし東出は進んで人の罪を被りその見返りは決して要求しなかった。
 昔先代に大恩を受けたとかでその恩返しだといつも笑っていた。
 とはいっても他に示しがつかないだろうと七哉は何度も役を与えようと申し出たがその度それを辞退し、最後には若い者たちと他組織を襲撃した折返り討ちにあって命を落した。

 東出には息子が一人いた。

 

 父が先代組長に義理立てしてついにはつまらない死に方をしたことが息子には納得できなかったのだろう。
 組とは無関係のところでひどくぐれてあちこちで問題ばかり起こしているのを見かねて、七哉はその息子の面倒を組で見ることにした。そのとき息子は15歳。

 名を康平といった。

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「お久し振りです、康平さん」
 にっこりと微笑んで睦月はカウンターの椅子に腰掛ける。椎多は腕組みをして入り口近くの少し離れたところに座った。
「見たくもねえ面がおそろいで」
 毒づいてみたものの声にいつもの生気はない。顔を僅かに逸らしてマサルを睨みつけ、皮肉っぽく笑う。
「やっぱりこういうことだったんだな」

 マサルも、俺を売った──

「康ちゃん、違う──」
「マサルは何も知りませんよ、康平さん」
 睦月は苦笑して澤を制するように手を伸ばした。
「結局康平さんも、いざとなればここしか戻るところがないんじゃないかと思いましてね。たとえ──シゲさんがもういなくても」
 額にまで皺が寄るほどに眉を寄せ、康平は睦月を睨みつけた。しかし睦月はどこ吹く風である。
「大当たりでしたねえ」
 マサルは唇を噛み締めて、カウンターの中で立ち尽くしている。椎多はそれにちらりと目をやり、澤と睦月に視線を戻した。
「まあ、座りましょうよ。マサル、なにか飲み物をくれるかな?」
 睦月はただ飄々としている。対照的に澤は苛々と椅子を引き寄せ腰掛けた。


 静かに二人の前にグラスが置かれる。そのあと椎多の前にも。椎多はそれを口に運ぶと唇を舐めた。何故か唇が乾いて仕方ない。

「この際ですから色々聞きたいことがあるんですよ、康平さんには」
「俺は話すことなんか無いがな」
 睦月は澤の言葉など聞こえていないようににっこり微笑むとひと口酒で口を湿らせた。
「じゃあ、単刀直入におききします。何が目的なんですか?組?企業?それとも組長自身?」
 ただ喉の奥でくつくつと笑う。カウンターの端に座った椎多に視線を投げ、それからどこか遠くを見るような目をした。

──目的?

「一連のあなたの行動には、誰か別のクライアントがいるようには思えない節があります。あなた自身の計画なんでしょう?」

──嵯院椎多と渋谷英二。
──おまえらが俺の前に現れたりするからだ。

「ああ、そうだ。嵯院椎多も渋谷英二も、渋谷修一も、鴉も、睦月おまえも──つまんねえことを思い出させるものは全部消してやりたかったんだよ。よりによって全員セットで登場しやがって」

 だから、いまだにあんな夢を見続けるんだ。


──なにもかも、鬱陶しいんだよ。

 睦月はじっと澤の表情の変化を凝視している。
 まるでカウンセラーが相談者に対峙しているように。

「そうですか。何か利益が発生するでもなく、私情だということですね。単純な話だったんだな。道理で」
 独り言のように呟いてはいるが、それを完全に信用しているかどうかは睦月の胆の内である。咀嚼するように何度か頷いて顔を上げ再び澤に視線を戻した。


「では次です。鷹さんを殺したのはあなたなんですね」

 澤の顔色が変わる。

──おまえは可哀想なやつだ。

「それが──どうした」

 その答えに、椎多の顔が歪む。
 鷹──喬は、幼かった椎多を可愛がってくれたし椎多もなついていた。あの大きい手を、太い腕を、今でもよく覚えている。
 喬がどのようにして死んだのか、父も紫も教えてはくれなかった。

 そして、鴉が喬の息子の鴒であることも、椎多は知らなかった。ここへ来る前、わずか数時間前に初めて知らされたことだ。喬は息子を”嵯院”の関係者には一切会わせなかった。それは少しでも危険を回避するために当然のことだった。だから椎多は喬に息子がいたことも知らなかった。
 今日は睦月にすべて任せてある。うっかり手を出したりしないように離れて座り、ずっと黙っているつもりだった。だから、胸座を掴んでどういうことかと詰問したい衝動をかろうじて抑えた。自分で自分の腕を押さえるようにカウンターの上に組んだ腕に力がこもる。
 睦月は苦笑を洩らした。


「昔、ここで一度だけ会いましたよね。本当はあなたにそれを糾したいと思って──そのために私はここに入り込んだんですよ。あの時は結局聞けなかったんですが」
「そんなこったろうと思ってたさ」

「こんなにあっさり白状してくれるならやっぱりあの時訊いておくべきでしたね」


 睦月は睦月なりに、康平が怪しいと踏んでなんとかしっぽを掴もうとしていたのだ。しかし、結局鷹を殺したのが澤だという確証を得ることはできなかった。

 普段の睦月なら何の躊躇いもなく康平の犯行であることを暴いただろう。その手を緩めてしまった理由は、睦月の胸の中にしまいこまれている。

 

 東出康平が七哉の元を離れて別の組織へ寝返ったのは、鷹が殺される数ヶ月前の事だ。

 かつて鷹が七哉のもとで殺しの仕事をしていたころ、当時の若い者数人に鷹が銃の扱いなどを指導したことがある。その中で有能な者には大きな仕事の時に補佐につけられるよう、殺し屋としてのスキルも一切合切教えた。それが、紫、睦月、そして東出康平だった。
 紫や睦月とは違って組長である七哉にも組にも馴染めていなかった康平を鷹はなにくれとなく気に掛けていたし、康平も鷹にだけは少しは心を開いていた。少なくとも睦月はそう認識していた。

 だからこそ、鷹を殺したのが康平ではないかという疑念に最後まで自信を持つことが出来なかったのだ。

「あの仕事を鷹さんがひとりでやる、と言い張ったとき妙だと思ったんです。普段なら絶対私や紫さんをサポートにつけたくらいの仕事でしたから。相手に康平さんがいると知っていたからひとりでやるって言ったんですね、鷹さんは」
 澤は一瞬目を見開き睦月を凝視めた──が、知るか、と一言吐いて再び皮肉な笑みを浮かべる。


 康平の寝返った組織の幹部がその時の標的のうちの一人だった。関係者3人を殺された時点で自分が狙われていると悟ったその幹部が、鷹の弟子だったという康平を試す意味もあったのだろう、康平に鷹を殺すよう命じた。うまくいけばまだ若い康平を幹部に抜擢するという条件。

 康平はそれをのんだ。


「俺の上役が狙われてたからそのヒットマンを始末した、それだけのことだ。そんなことにいちいち感情を差し挟んでられるか」
「そうまでして出世したかったんですか?」

 鼻で笑う。
 嘲笑は誰に向けられたものだったのか。

「一度は上の景色を見てみてえじゃねえか。ずっと地べたに這いつくばって飼い主の為に生きて死んでくような人生はまっぴらごめんだ」

 誰かに義理立てしながら生きていくなんて愚かな生き方だ。
 親友である七哉のために自分の命を危険に晒しながら人の命を奪い続ける鷹の姿が、
 先代に義理立てして死んで行った父親の姿にだぶって見えた。
 それを疑問にも思わないだろう鷹に憎しみすら覚えていた。

​ ”憎しみ”だと思っていた。

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 イヤホンからこもった声が伝わってくる。しかしそれを一言一句聞き逃すまいと鴉は目を閉じ耳に全神経を集中させた。
 椎多が盗聴器を持っている。そこからあの店の中の様子が耳に入ってくる。


 澤が父を殺した理由を。
 そして父がどのように殺されたのかを。

 

 鴉は灯りの届かない路地奥のゴミ箱の陰で猫のように蹲って聞いていた。
 睦月が、一緒に澤の前まで行くかと誘ってきたけれど、あえてそうはしなかった。

 落ち着いていたかった。顔を見ていてはそうできる自信がなかった。

 そして、すべて聞くことができたら──ようやくあの男を殺すことができる。

 そう思うだけで鼓動が少し早くなった気がした。

 

 


 やれやれ──と、首を捻り、睦月はまたひと口酒を含むと息をついた。

「さて、次です。麗華、という女性をご存知ですか?」

 ふいうちを喰らったように、澤は目をまるくした。それから眉を寄せ、なんだその女は、と呟いた。
「うちの先々代──椎多さんの祖父にあたる方ですが」
 睦月はそう言って一瞬椎多に視線を投げ、再び澤に戻す。
「七哉さんは先々代がけっこう高齢になってからのお子さんでしたから、七哉さんがまだ若い頃に亡くなられたんですよ」
 それは七哉からも、組の長老クラスの爺さんどもからも聞いているが祖父本人のことは椎多は知らない。

 実際には祖父の死後七哉が組長を襲名するまでの間組長を務めていた宇佐がおり、正確に言えばそれが先々代ということになるのだが身内で『先々代』といえば椎多の祖父のことを指している。


「その先々代が、最後に愛した女性が麗華さんという方です。水商売の女性だったのですが先々代はたいそう気に入って死の間際まで側においておられたそうです」
 その爺いの愛人がどうした、と言いたげに澤の目が苛立っている。
「先々代が亡くなった時、遺言では麗華さんにも財産の分与が明記されていたそうですが麗華さんは姿を消しました。殺されたのでは、という声もあったのですが、それは違っていた」
 睦月の手の中のグラスで氷がからんと音を立てる。一息おいて睦月は小さくなった氷を一つ口に含み、噛み砕いた。
「麗華さんの本名は華子さんといいます」

 澤の目が細くなる。開いていた筈の掌がカウンターの上で丸まっていた。

 

「フルネームは澤華子──康平さん、あなたのお母様ですよ」

 だん、と激しい音。澤がいつのまに握り締めていた拳でカウンターを叩いていた。グラスの中の液体がゆれる。
 睦月はかまわず続けた。
「姿を消した華子さんが次に姿を見せたときは東出昌平さんといっしょになってました。とはいっても籍は入れていないようですね。内縁関係です。生まれた息子は父の籍に入れられました。康平さん、あなたです」
「やめろ、睦月」
「やがて華子さんは覚醒剤に手を出すようになり、数年でまた姿を消し今度こそ帰ってこなかった。そうですね?」
「やめろ!!」
 澤が立ち上がった。その弾みで椅子が倒れる。
「麗華さんの店で働いていた女性──今はもういいおばあちゃんですが、その人によると麗華さんは姿を消す少し前に妊娠したかも、と洩らしていたそうですよ」
 睦月の顔にはずっと微かな笑みが浮かんだままだ。それが更に澤の神経を逆撫でした。
「貴様………何がいいたい……」
「ここから先は確かめる術はありません。単なる私の憶測です。が」
 澤の目は既に血走っている。額に汗が浮かんでいるのが見てとれた。

「康平さん、あなたの父親は東出昌平さんではなく嵯院──」

 言葉が途切れる。澤が睦月を殴り飛ばしていた。睦月は椅子から落ちそうになりながら持ちこたえた。それでも睦月は口を閉じなかった。
「華子さん──あなたのお母様は、子供の父親、つまり庇護者になってくれる筈の先々代が亡くなってしまったことで逆に跡目争いや何やに巻き込まれることを恐れて姿を消したんでしょう。それを東出さんが、自分の子ということにすればいいと思いついたのでしょうね。それでも華子さんは自分や子供が巻き込まれる恐怖に耐えられなくなり覚醒剤に手を出したんです。東出さんは──恩ある先々代の愛した女性を守れなかったことを気に病んでいたそうです」
「ちょっと待て、睦月」
 別の声が混じる。椎多がカウンターに腕を組んだままの姿勢でこちらを睨みつけていた。
「その話は間違いないのか。思い過ごしでしたじゃすまされないぞ。それが本当ならそいつは……親父の──」
 声が微かに震えている。

「ええ──弟さん、ということになりますね」

「違う!」
 悲鳴のような叫び声。次の瞬間、激しい破裂音が耳の機能を奪う。
 カウンターの中の酒が3本砕けていた。澤の構えた銃を、睦月が一瞬のうちに叩き落とす。


「あなたは知ってしまったんでしょう?だから余計に七哉さんが憎かった──あなたがうちの組を抜けたのはその為ですか」
「俺の親父は東出昌平だ。あのお人よしでうだつのあがらねえ、要領の悪いつまんねえ男が。あんなにやついた男となんか俺は関係ねえ!」

──おまえ、麗華の息子だろ?
──知ってるか?麗華は嵯院の先代の爺さんの妾だったんだぜ。
──東出のオッサンも酔狂だよな。
──使い古しの妾と隠し子を押し付けられても有難がってたんだからよ。

「あなたはそれでも決してその立場を利用しようとはしなかった。お父さん──東出さんのことを、好きだったんですね。康平さんは」
 床に叩き落された澤の銃を拾い上げてカウンターの向こうにいるマサルに差し出す。睦月は最初から一向に調子が変わっていない。

 澤が父の、そして鷹の生き方を否定し続けたのは──

 

「……………」
 澤はついに言葉を失ったようによろよろと後退るとボックス席のソファに躓き倒れるように沈み込んだ。

 ぐるり視線を巡らせ、睦月、マサル、そして最後に椎多の姿に視線を固定する。
 小さな子供を寝かしつけながら微笑み手を振る女の姿が脳裏に浮かんだ。

「姐やんは──リカは、おまえを守るために死んだんだったな……」 
 ぎくりと拳を握りしめる。
「おまえの祖父さんは妾とガキを東出に押し付け、おまえの親父はてめえの女房が産んだ子供を愛人に押し付けた。おまえは誰に何を押し付けるんだ?」
 くすくすと力ない笑い。

 親父はそうやって爺に義理立てした挙句、出世も拒んで組のために死んだ。
 リカは椎多を守るために殺された。
 渋谷修一は店を守るために誰を裏切ることも厭わない。
 渋谷英二は家族を守るために一度手放した拳銃に手を伸ばした。

 鷹さんも七哉のためにずっと命をかけて、挙句俺に殺された。

 

──俺には、何もない。

「喬を──どうやって殺したんだ」
「俺は鷹さんのやり方は知ってる。だから鷹さんが標的を狙うポイントに行って撃った。それだけだ」
「あれは殺し屋の仕事じゃありませんよ、康平さん」
 椎多に言葉を譲っていた睦月が再び口を開いた。

「何丁持っていたか知りませんが、全部撃ち尽くすまで撃ったでしょう」

 

 余程憎んでいるか。

 でなければ愛しているかしなければ──

 プロはあんな殺し方はしません。

 

「あれはちょっと銃の扱いが上手い素人のやることです」

 ぎりっと唇を噛んで澤は睦月を睨みつけた。しかしその目にはもはやあの人を射すくめるような力はない。

 何かを護る為に自分を犠牲にしてもいい。
 そんな何かを持っている人間が本当は妬ましかった。
 澤が持ち得なかった宝を、彼らは持っていたのだ。

 

 澤は舌打ちをすると、ふらりとドアに向かった。
「どこへ行くんです、康平さん」
「さあな。出直してくる。まだ俺は負けたわけじゃねえ」
 おい、と立ち上がる椎多を、睦月が手で制した。マサルが何か言おうとして言葉に詰まっている。
「じゃあな。今度会う時はこうはいかねえぜ」


 精一杯の虚勢。
 まだ、澤はあがいている。
 ドアに手をかけ、にやりと笑った。

 

 次の瞬間──

 ドアから澤が弾き飛ばされるのが見えた。

 立て続けに乾いた音が聞こえる。

 咄嗟に椎多がドアを閉める。

 路地の向こうに黒づくめの男が見えた。

──鴉。

 睦月とマサルが駆け寄る。
 澤の身体を確認すると、少なくとも15発は撃ちこまれていた。オートマティックのマガジン一冊分。

 ひゅうひゅうと、息の漏れる音が聞こえる。
 いずれも即死させるものとはいえない。頭にも、心臓にも避けて通ったように銃弾は届いていなかった。

「康ちゃん!」
 マサルが澤の頬を叩いている。
 しかし、澤は最期の言葉を発することも出来ずにいる。

 

 あんたが親父を殺したのと同じように、たくさんの銃弾を喰らって死ぬがいい。

 

 鴉の声が聞こえた気がした。
 床に血溜まりができてゆく。それでもまだ澤の息がひゅうひゅうと続いていた。

「康ちゃん。苦しい?」

 マサルが──笑った、ように見えた。
 そして睦月から預かった澤の銃を握り、今度こそ本当に、笑った。

 

「可哀想に。楽にしてあげるよ、康ちゃん」

 

 店内に、乾いた音がひとつ。

 マサルが立ち上がり無造作に銃を投げ落とすのを椎多と睦月は唖然として見守っていた。

 銃は血まみれの澤の腹の上でバウンドし、床に落ちる。

 澤の額に小さな穴がひとつ。

 ふたりの視線に気付くとマサルはにこりと笑ってカウンターに入り、手を洗った。
「ここ、後始末はしてくれるんでしょう、いっちゃん?今夜休んじゃったから明日は店開けたいんだよね」


 ただ、返す言葉も無く睦月は頷いた。
 ここへ来て初めて睦月の顔から笑いが消えていた。

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──おまえは可哀想なやつだ。

 体中が熱い。痛いのを通り越してもうただ熱いだけで他には何も感じない。

──おまえは誰も信じない。だから誰からも信じられない。
──ほんの少し俺を信じてくれればよかったのに。


 鷹が最期に口にしかかっていた言葉が、やっと聞こえた。

 

 聞こえたところで、もう遅い。
 目を開けているのか閉じているのか、もう暗くて自分でもわからない。

 あの世ってやつはほんとにあるんだろうか。
 もっとも、あったとしても誰も俺を迎えに来やしない。
 誰も、俺を待ってくれてたりなんかするもんか。
 せいぜい俺が殺したり酷い目に合わせたやつらが地獄へひきずりおろしに来るくらいだ。


 はははははは。 
 来るなら来い。

 

 澤康平の意識は、そこで途切れた。

*the end*

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送信しました。ありがとうございました。

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*Note*

​というわけで無事「銃爪」の章の移行完了です。最後の方は調整程度の加筆に留めました。マサルのサイコパス味はもっと掘り下げたいところ。

これを書いた後にスピンオフ書きながらどんどん康平が気に入ってしまって、しまったー!殺さずに生かしてどっかやればよかったー!と後悔したりもして。本当はこの加筆修正のどさくさで康平は殺されずに逃げるという風に書き替えるのもありかと思ったんですが、そうすると鴉がすっきりしないのでこれはもうここで死んでもらうのがいいだろうと。いうことでオリジナル通りさっくり死んでもらいました。なお「昔日」や「谷重」のスピンオフでいっぱい出てきます。かわいいです。

​この前の話で何故か傷つかずに素で英二と対峙していた椎多がおかしくなってくるのは次の章です。だいぶ鬱陶しいです(笑)。ではまた。(2021/8/6)

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