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罪 -19- 舞い戻る鳥

「社長、聞いてるんですか」
 秘書室長である名張の少し苛立った声に顔を上げる。
「桐島さんがお休みだからってそんなに気を抜かないで下さいよ」
「おまえの方こそ柚梨子が居ないからってそんなに不機嫌にならなくてもいいだろう」
「関係ありません」


 名張光好はまだ入社2年目の年に社長、つまり椎多付秘書のチーフに任命し今期からは秘書室長に抜擢したという"若手"である。能力は高いわりに出世欲が低いせいか、椎多に対してもへんにおべっかを使ったりしないところが気に入っている。ただ、小太りのせいか真冬でも常に汗拭きのタオルが必須でいるところだけが難点だ。仕事に対するのと同じくらい自分にも厳しくして身体を絞ればいいのにと繰り返し指摘はしているが、そこだけは改善される様子はない。

 どうやらこの男は柚梨子に惚れているのだがまだ食事の誘いにすら応じてもらったことがない。柚梨子が椎多の愛人であることには薄々気づいているのかもしれないが、仕事の能力は高くても恋愛のスキルは低いとみえる。

 邨木佑介と桧坂紋志が逃亡し、Kらの手でその日のうちになんとか捕獲し屋敷に連れ帰ったのが昨夜遅くのことだ。柚梨子は妹のみずきにつきそわせるために早めの時間に屋敷へ帰したのだが、今朝になっても顔を見せなかった。メイドを遣って様子を確認させたが、体調が悪いので今日は出社できないとドア越しに言うばかりだったという。

──あたしを騙してらしたの……

 

 あの時の柚梨子の声が耳の奥に残っている。
 もしかしたら柚梨子はもう俺のために働くことの意味を失ったのかもしれない。
 だとしたら、それはそれでいいだろう。
 もう、あの娘たちを手放してやってもいい頃合いだった。気持ちが離れたなら出て行きやすい。

「だから、聞いてるんですか。明日の会食はドタキャン厳禁のやつですからね」
 椎多がたまに相手によって諸々の言い訳を駆使し会食を当日にキャンセルするのを名張は警戒している。キャンセルした後の始末は名張がしなければならないからだ。とはいえ当日キャンセルしていい相手と絶対不可な相手の区別くらいつけている。部屋を片付けろ宿題をしろと口うるさい母親に『今やろうとしてたのに』と言うような気分で、んなことわかってる、と睨みつけた。
「旨い食事をしながら偉い人の機嫌を取ったり利用したい相手から機嫌をとられたりして関係を潤滑にするのとひたすら書類にはんこ押すのが社長の主な仕事なんだからちゃんとして下さい。ゴルフももうちょっと練習して欲しいです。あと来月、海釣りはどうですかと例の社長から再三のお誘いがあるんでそろそろ1回くらいつきあってあげて下さい」
「ゴルフはまだしも海釣りは嫌だ。100%船酔いする。船酔いしながら商談なんかできるか。それに海の上なんか危険すぎる。うまく断るのもおまえの仕事だろうが。なんとかしろ」
 名張はうんざりした顔を隠すことなく、とにかく明日の会食は絶対ですよ、と言い残して退室していった。

 ドアの閉まる音、その向こうで他の秘書と会話している名張の声が遠ざかっていくと急に室内がしん、とした。普段は柚梨子やKが控えているが、誰もいないだけで妙に沈黙が重い気がする。
 そんなもの、気のせいだ。
 柚梨子のことも邨木と桧坂のことも気にはなるがひとまず『明日の会食』にまつわる名張が用意した会食相手の資料と、睦月が用意した会食の場所に関する資料をデスクに並べて見くらべる。椎多はまず睦月の資料を手に取った。

 場所は老舗料亭『しぶや』。
 これまでも幾度か会食で使ったことはある。政治家が特に大好きな店だ。記憶を辿ると、おそらく初めてあの店に行ったのは父が存命中で自分がまだ小学生くらいの頃だ。単に親子で食事に行ったわけではなく、機嫌良さそうな太った年寄りが向かい側に座っていたので父は接待の時に自分を伴って行ったのだろう。その頃は時間によってではあるがたまに会社の会議などにも連れていかれた。当時の会社の重役たちは皆、椎多にとっては親戚のおっさんどものようなものだった。

 『しぶや』は江戸時代から続く老舗料亭である。六代目当主は現在は料理人としては引退し、経営に専念しているという。現在の料理長は七代目である長男が務めている。
 この長男という男が少々曲者だ。
 古くから政治家御用達の店。政治家同士はもちろん、表には出しづらい汚職の舞台としても頻繁に使われている。実際、『明日の会食』もその類のものだ。
 この舞台裏で諸々の工作をして利益を得ている勢力がいくつか暗躍している。現在睦月が代行として取りまとめている組もそのひとつだが、もうひとつ似たような組織が勢力を広げている。それが睦月の言っている『お隣』だ。
 七代目である長男はそういう組織の勢力図にも自ら干渉しようとしているようで、ケンタはこの男に張り付いて情報を売ったり買ったりというところまでは入り込んだ。しかし向こうの組織の窓口になっている男とはさらに深い関係であるらしい。ここを見極めた上で、タイミングを見て『お隣』とやらを一気に潰す──それが睦月の計画だ。もっとも、そちらの計画は睦月に完全に一任している。椎多が「社長」として出入りする場所であるからこそ手を出さずに任せてはいるが同時に情報共有は必須でもある。
 
 諸々の関係者の情報が整理された資料を捲っていて、椎多の手がふと止まった。
『しぶや』の一族の構成である。
 六代目と女将であるその妻。七代目になる長男。これはまだ独身だ。そして次男───

 ほんの数秒、心拍数が上がった気がした。

 

 次男は現在に至るまで家業には関わってはいない。大学卒業後何年かフランスに滞在した後、最近実家に帰ったとある。
「へぇ……」
 小さく呟くとそこに添付された次男の顔写真を指でなぞった。
「まさかこんなところで会うとはな」
 忘れかけていた古い傷が胸の底のほうでちくりと痛む。それに気づかないふりをして椎多は資料を閉じた。


 と同時に携帯電話が着信を告げる。Kである。

『組長、やつらやっと目を覚ましたみたいです。直接話したいんすよね?』
「そうだな。幸い今日は夕方からの予定はない。俺がそちらに戻るまで様子だけ見ておいてくれ」
『あの部屋に出向く?それとも別の部屋に移す?まあまあ居心地悪い部屋だけど』
「監禁を解くかどうかも決めてないのに、わざわざ監禁用の部屋から出すことはないだろう」

 電話を切るとふう、と天井を見上げる。
 カビの生えたような古い感傷に浸っている暇はない。

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 こちらの顔を見るなりなんとも言えない微妙な、助けてくれとすがるような表情でこちらを見つめたKの顔──

 

 さっき見たばかりのその顔を思い出すと笑えて仕方ない。
 あいつでもあんな頼りない顔をすることがあるのか。借金取りに追われて首を吊った養父の死体を目の前に置いている時ですらあそこまでの顔ではなかったと思う。

 こみあげてくる笑いをそれでもなんとか抑えながら、まだ微妙な表情をしているKが開いた扉の奥にずかずかと踏み込んだ。

 

 中にいた二人は突然ドアが開いたせいかひどく驚いて野生の小動物のように揃って振り返っている。
 椎多を座らせるためだろう、Kがソファに座っていた二人を立たせようとしたがそれを手で制する。椎多は立ったまま腕を組んでソファの正面側の壁にもたれかかった。

「おもしろいゲイAVをタダで見せてもらった。青乃の性奴隷にされてるって聞いてたからそっちだとは思わなかったな。そりゃなおさら無理やり女とやらされて苦痛だったろう。気の毒に」

 笑い交じりにからかうように言うと佑介と紋志は目線だけを交わして気まずそうな顔をした。それがまた可笑しい。
 監視カメラに見られているのは察しているだろうに、この二人ときたらいきなりいちゃいちゃとキスしたり抱き合って互いの局部をこすりあいっこしたりしてやがった。
 それを生放送のように見る羽目になったKはその報告だけをすればいいものを、ちょっとこれ見て下さいよとわざわざ録画を椎多に見せてきたのだ。この微妙な気持ちを共有したかったのかもしれない。

「どうせなら突っ込むとこまでやりゃいいのに」
「タダで見せられるのはあそこまでです」
 紋志の言葉に椎多はついに堪えきれなくなって大声で笑いだした。
「なんだおまえ、思ってた何倍もおもしろいヤツだな」

 こいつが桧坂紋志。
 この数日間これほど名前を口にしているのに、本人と対面するのはこれが初めてだ。

 青乃の結婚にあたってまだ中学生なのに葛木邸を追い出され、矢島恭太郎の店で面倒を見てもらいながら成長し、中卒で就職して働きながら夜間高校から現在は夜間大学に通う苦学生。手切れ金だか退職金だか知らないが、それを耳を揃えて葛木家に返すために必死で倹約して働いていたのだという。そうやって健気に生きてきたのに、青乃に見つかって"性奴隷"にされてしまったどころか、面倒を見てくれていた矢島恭太郎も死に、何故かここにいる邨木佑介と逃避行を試みるも失敗して連れ帰られた──

 という具合に、桧坂紋志に関しては『健気で善良だがとにかく不運な人間』だという情報しか無かった。そこから得られるイメージと、実際に対面してみた紋志は少し違っている気がした。
 佑介はまだ気まずさと羞恥と困惑と色んなものが交じり合った顔をしているが、紋志はそういったものが全く顔に浮かんでいない。自分の身近な人間でこのタイプはと一瞬考えて、一番近いのはみずきかもしれない、と思った。

「半分冗談で言ったんだが、本当に駆け落ちだったわけか。邪魔をして悪かったな」
「最初からそのつもりだったわけじゃないんですけど、そう見えるならそういうことにしておいてもいいです」
 椎多は壁から離れて、ソファに座る二人に近づく。それに呼応してKは警戒のレベルをひとつ上げたように二人の背後へ位置を変えた。

 右手を伸ばし、紋志の顎を指でするりと撫で上げる。ヒゲがあまり伸びていない。隣の男はすでに顔の下半分がうっすらヒゲで覆われ始めているのに。

「あの、今はいつで何時ごろなのか教えていただけませんか」

「そんなもの知ったところでどうなるわけでもないのに気になるのか。今はおまえらが駆け落ちして捕まった翌日の夜だ。19時くらいかな」

 ほぼ丸一日経過したわけか──と椎多本人もなぜか感心する。

「青乃はおまえらが捕まった頃にようやくおまえらに逃げられたことに気が付いたらしいぞ。昨日も今日も部屋で大暴れしているそうだ」
「───」
 二人の座っているソファの肘掛に内向きに腰を下ろし、片方の膝をソファのクッションの上に乗せた。覗き込むように顔を紋志に近づけ、目を真っすぐに睨んでやる。こうするとたいていの者は思わず視線を逸らしてしまうものだが、紋志は挑戦的でもないのに全く逸らそうとしなかった。
「青乃はおまえを手に入れるためなら本当に何でもやる心理状態になっているようだ。実際に取り戻したらどうなるんだろうな」
 椎多の視線を逸らすことなく見つめ返していた目を、うっすらと細める。それからなにか不思議なものでも見るかのように首を傾げた。

「青乃さまをそんな風にしてしまったのは、あなたじゃないんですか」

 

 ずっと孤独だった青乃さま。

 自分は引き離されてしまったけれど、

 結婚したらあのひとはもう孤独じゃなくなると思ってた。

 あのひとにはやっとちゃんとした家族が出来るんだから、

 きっと幸せになってくれているはずだ。

 そう思っていたのに。

「あなたは青乃さまの家族になってあげることもなく、幸せにもしてあげず、あんな風な吐き出し方を覚えてしまうくらい苦しめたんでしょう?だんな様ならどうしてあのひとを守ってあげなかったんですか」

 声音は全く攻撃的ではなかった。

 悪意も糾弾するような激しさもなくただ素朴な疑問を投げかけているだけのようだった。

 しかし、紋志の言葉は全部鋭い針になって椎多の心臓に突き刺さっていく。

 おいいいかげんにしろよ、と耳のどこかがKの声を拾って、まるで一瞬意識を失っていたのかというくらい思考も動きも停止していた椎多の頭を覚醒させた。それに真っ先に反応したのは椎多の右手だった。

 ぴしりと鋭い音。

 紋志が痛そうな顔で頬を押さえながら目線を椎多に戻しているのが見える。椎多は水を払うように右手を振るとそれで今度は紋志の喉を掴んだ。

 佑介が紋志を助けようと立ち上がろうとする。

 Kが咄嗟にそれを制止する。

 

 椎多は──笑っている。


「ああ、その通りだ」

 青乃は一番最初からずっと俺との結婚も、俺との家庭も、俺自身も、全部拒絶した。

 全部だ。

 家族になるために歩み寄ろうすることもその努力も。

 一番最初から受け入れる気など欠片もなかった。ゼロどころかマイナスだった。

 だから──

 俺はあいつを力ずくで手に入れようとした。

 あいつを奪おうとする邪魔者は排除した。

 そうだ。

 青乃がやっているのは、俺があいつにしたのと同じことだ。

 自分が味わった苦しみを、おまえに与えようとしてるんだ。


 喉を掴んだ指に少し力をこめる。紋志が少しだけ顔をしかめた。
「どうだ、青乃と同じ思いをさせてもらって光栄か。"お気持ち"がわかるようになって嬉しいか」
 残酷に目を細める。

 唇がつきそうなほど顔を近づける。

 紋志はうっすらと苦悶の表情を浮かべているだけで何も言わない。
 投げ出すように紋志の首を離す。
 その拍子に紋志は小さく咳き込む。


 椎多は肘掛に腰を下ろしたまま煙草を取り出し、火を点けた。
「──ですか」
 解放された喉をさすりながら、そしてまだ何度も小さく咳き込みながら、紋志が声を出した。
「あ?」

「青乃さまに愛してもらえなかったのがそんなに悲しかったんですね」
 
 椎多の目の色が変わる。
 佑介が何か叫んだ。
 椎多は───

 煙草の煙を紋志の顔に間近からふう、と吹きかけると何かのスイッチが入ったように笑い始めた。

「愛してもらえなくて可哀想だとでも言いたげだな」

 咥え煙草のまま煙に咽ている紋志の胸倉を掴み、立ち上がる。勢いに任せてそのまま床へ向かって投げだし、足で転がすと仰向けにして腹を踏みつけた。

「よかろう、大事な青乃さまのところへ返してやる」
「やめろ!」
 飛びかかろうとする佑介をKが後ろから羽交い絞めにして止める。小柄なKの腕を佑介は外すことができずにいる。
 椎多は笑いながらKに向かって顎をしゃくって見せた。
「あとでこいつを青乃のところへ丁重に送ってやれ。そうだ、さっきの監視カメラのビデオカセットを身体に巻き付けておこう。テープの存在を認識すれば誰が止めようとしても青乃は見るはずだ」
 自分を踏みつける足を両手でどかそうともがいていた紋志もさすがに嫌悪感を露わにしている。それを見て椎多がまた笑う。
「誰に見られても気にはならないが青乃には見られたくないのか?そりゃなおのこと面白いな。おまえが誰に命令もされないのに自分からその男に絡まっていって立たせてやったり立たせてもらったりイッたりイカせてもらったりしてうっとり抱き合ってるところを青乃が見たらどうするんだろうな?!」
「組長、悪趣味すぎじゃないすか」
 Kが言葉を挟む。
「ああそうだ、俺は悪趣味だ。文句あるか」

「何の騒ぎですか」

 

 ドアが開く音に室内にいる全員が一斉にそちらを向く。

「伯方──」
 ここに二人を捕らえているとは知らせていなかった筈の伯方が、細く開いたドアから滑り込み後ろ手にそれを閉じた。

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 戦場では実際に素手で格闘するような場面はなかった。長時間にわたり重い銃を抱えて自由に動き回れる身体を手に入れる、あるいは維持するためのエクササイズとして訓練に臨んでいたことを思い出す。帰国して警備の仕事に就いた時には幾度かその格闘のスキルを実用する機会はあった。

 とはいえ、そのへんの格闘家などにはおいそれと負けはしない程度の自信はある。

 それなのに。

 自分より一回りも二回りも小柄な、少年のような男──Kに後ろから羽交い絞めにされてそれを外すことが出来ない。自分の能力が衰えたのか、それともこの男が見た目からは想像できないほど格闘の上級者でもあるのか。

 床に転がされ嵯院椎多に足で踏みつけにされている紋志を視界の端から失わないように必死に佑介はもがいた。それなのにKはまるで力など入れていないかのようにその主と普通に会話している。

 紋志が言ったことは嵯院椎多を余程刺激したのだろう。

 当初は余裕たっぷりにこの部屋に入ってきた嵯院は、突然箍が外れたように荒れ始めた。

 果ては、紋志を青乃のところへ戻すと言い出した。

 そんなことをされては、佑介の企てた逃避行は無駄に終わったどころか、青乃の怒りを買った今、以前より激しさや凶悪さは増してしまうのではないか。

 どうすれば紋志を青乃のもとへ返すことなくこの場を脱出することが出来るのか。それを考えるしかない。が生憎今の状況でその手段が考えつかない。せめて何か武器でもあれば良かったのに──

 そこへ入ってきたのは、佑介がこの屋敷に来た時に最初に面接をした──この屋敷の警備責任者である伯方照彦だった。

 伯方が入ってきたことで嵯院は紋志を踏みつけていた足を下ろし、さきほどまで咥えていた煙草を胸の内ポケットから出した携帯灰皿に放り込みながら伯方の方へ向かう。紋志はその場でゆっくりと身を起こした。不穏で重たい空気が、扉を開けることで換気されたように一瞬軽くなった気がする。錯覚なのかもしれないが呼吸が楽になり、少し落ち着きわけもなく助かった、と思った。

 伯方はその場を見回して小さく溜息をついた。
「あなたが私を信用しきれないのは判っているし仕方ないとは思っていますが、こういうのは困ります」

 外から見ただけではまるでベテランの教師が生徒指導しているように見える。伯方に苦言を投げられた嵯院は嵯院で、教師に反抗している生徒のような表情になった。もっとも嵯院が学生に見えるというわけではないが。
「ここの主は俺だぞ。好きにやって何が悪い」

「ええ、好きにやって頂いて結構ですが、私もこの屋敷の警備責任者です。発信機のついた車の出し入れや人を監禁したりするのにせめて私にも報告が来るようにして下さい。黙って色々やられると何か不測の事態が起こった時に対処しきれないこともありますよ。仕事をする上で報連相や危険予知が大事なのはよくご存じでしょう、社長なんですから」
 態度はあくまでも柔和で紳士的なラインを越えはしないが、しっかりと釘を刺している。

 面接で会った時やそれ以降も、各方面に気を使いながら青乃の八つ当たりも甘んじて受けつつ治安を守っている調停役くらいに思っていたが、意外と押しの強い人間なのだと今更気が付いた。

 伯方の刺した釘に対して嵯院はおとなしく打ち付けられるわけもなく、体当たりする気かというほど近づいて至近距離から自分より高い位置にある伯方の額に指を立てた。
「偉そうに言ってくれるが、おまえもいつまで"おじょうさま"を腫れ物扱いして好き放題やらせる気だ。結局青乃が次々男をひっぱり込んで喰いものにしたり邪魔者を消したりすることを止めることも出来なかっただろう?」

 邪魔者を消す、という言葉に伯方と佑介と紋志は一斉にぴりっと反応する。

 邪魔者──それはあの、矢島恭太郎のことだろう。

 殆ど焼け落ちた『恭太蕗』の残骸を思い出す。

 佑介はその男を知らない。会ったこともなければ顔写真も見ていない。どんな顔をしてどんな話し方をして、紋志と接する時にどんな風だったのか。何も知らない。

 けれど、その男は紋志にとって失うにはあまりに大きな存在だったことくらいはもうわかっている。

「あれはやっぱりあんたらがやったことなのか。あの女の命令で」
 口をついて出た。
 紋志が肩をこわばらせてぎゅっと目を瞑っている。

 

 しかし伯方は少しの慌てた様子もなく、落ち着いている。

「いえ、あれは事故です。ただのガス爆発です。ガス管の劣化か、誤って漏らしたガスに引火したものです」

──"事故"だと?


「嘘だ!おまえらがやったんだろう!!」
 Kは暴れようとする佑介の拘束を慌てて強める。嵯院が呆れたような笑みを浮かべた。
「しらじらしい。おまえだってそんな偶然があるわけないと思っているだろう」
「いいえ、本当に偶然です。なんなら警察や消防に手を回して調書でも手に入れたらいかがですか。それに矢島を排除したいなら彼だけを殺せば済むことです。何もあの住宅地で近隣に延焼する危険を冒してまで周到な小細工をして店そのものを吹き飛ばしたり焼いたりする必要などどこにもない」

 

 そう言われればそうなのはわかる。

 しかし、やはり思わずにはいられない。

 そんな偶然があるわけはないと。

 紋志が真っ青な顔をして吐き気を堪えるような顔をしている。

 ああくそう、今すぐこいつを投げ飛ばすなり腕を切り落とすなりして紋志のそばに行ってやりたい──

「でも、奥さんがその男を殺せって命令してたのは本当だろ?」

 佑介の耳の後ろから、”佑介を拘束しているあの小柄な男”の怒り含みの大きい声が飛んできた。佑介からはその顔の表情は見えない。
 椎多と伯方は怪訝な顔をし、紋志は座り込んだままのろのろと声の主へ視線を移した。


「俺は知ってるぞ。伯方さんにも誰にもばれないように内密に、その命令を下されたヤツがいること。結果的に事故だったとしてもそれがあの人の望みだったってことだ。チャラになるわけじゃないよな」
「K?どういうことだ」
「どういう事も何も、そういうことだよ。伯方さんはもう知ってんじゃないのか。自分がすっ飛ばされてそういう命令が動いてたことも」
 佑介からはKの顔は見えない。ただ、それを見ている嵯院は少し驚き、伯方は険しい顔でこちら──佑介の背後にいるKの顔を見ている。

「組長もさっき言ってたけど、あの人が可哀想だからって腫れ物みたいにして何でも思うように好き放題やらせてきたせいで、どんどんエスカレートしてとうとう人殺しまで命じるようになっちまったんだ。一番悪いのは組長だけど、伯方さんだって止められなかった責任あるんじゃねえの?周りの人間はマジでいい迷惑なんだよ!」


「おいどうした、憂也」


 嵯院がいつも呼んでいるのとは違う名前で呼びかけたのを合図に我に返ったように、Kが黙る。自分を拘束している腕から微かに苛立ちのようなものが伝わってくる。

 目を眇めてそれを一瞥すると嵯院は伯方に向き直った。
「まあいい。俺にとっては命令でやったのか事故だったのかはたいして関係ないことだ。青乃はまだ暴れているのか。おまえこそ報告しろ」

 先ほどまでの紋志を痛めつけてやろうという心理状態からは脱したのか、口調は完全に冷静に戻っている。伯方は心無しかほっとしたように小さく息を吐いた。


「今は少しおさまりましたが、どんな手を使っても紋志を取り返し邨木を殺して死体を持ってこいと仰っておられます」
「だそうだ」

 嵯院が振り返り佑介を見る。

 そんなことははなからわかっていた、やれるもんならやってみろ。

 ありったけの目力で睨み返す。しかし嵯院は鼻で笑った。

「本当にそれを遂行するつもりなら、こいつはこの部屋に入った瞬間におまえに反撃の暇も与えず一瞬で殺してたさ。このいい人ぶったツラに騙されんなよ。必要なら一瞬の迷いも無駄もなくサクッと殺せる種類の人間だ」

「人を殺人狂みたいに言わないで下さい。本当に必要なら、やむを得ないならですよ」

「つまり邨木を殺す必要はないと考えているということだな」

 嵯院は話しながらちらちらと佑介に目線を投げよこしている。

「当然です。人ひとり殺すのは簡単ですがその死体を処分したり諸々の辻褄合わせをしたりする労力の方が面倒なんですよ」

 まるで大型ごみか産業廃棄物の不法投棄について語っているかのように言う。

 その言葉に嵯院が一瞬、痛そうな顔で視線をどこかわからないところへ投げた。

「あの」


 小さな声が思考を中断させる。つい今しがたまで真っ青な顔をして座り込んだままだった紋志がよろよろと立ち上がった。
「青乃さまと話させて下さい。僕のせいで佑介さんまで死なせるわけにいかない」

 またそんな事を言い出す──

 おまえがそこへ帰ったら元も子もないと何度言えばわかってくれるのだろう。

 

 さきほど一瞬見せた痛そうな顔が見間違いだったかのように嵯院は感心したような、もしくはからかうような笑いを浮かべた。
「ほう、勇ましいな。おまえを青乃のもとに戻したらどうせまた有無を言わせず奴隷のようにベッドの相手をさせられるだけだ。話なんかさせてもらえると思うか。それにおまえが必死に邨木を助けるように言えば言うほど逆効果だということくらい、おまえにだってわかっているだろう」


 紋志は金を積まれて去ったわけでも無理やり拉致されて連れ出されたわけでもない。自らの意思で佑介と行動を共にしたのだ。戻ったとしてもそれは紋志の望むところではない、他の"男"のために自分を犠牲にしているのだと言うことがどれほど青乃を逆撫でするか──

 

 紋志の申し出に耳を傾ける暇はないとでも言わんばかりに嵯院は部屋の中をうろうろ歩き始めた。

「桧坂をどうするかはもう一度考えるとして、邨木は当初の予定通り睦月に引き渡す。組の仕事を手伝ってもらう」

 あの車の中の電話でもそんなことを言っていた。

 組の仕事というのがどういう種類のものなのかはまだ全くわからない。ただ"鉄砲玉"だとか言っていたから、抗争か何かあるのかもしれない。


「青乃には邨木は逃げている最中に崖から海に落ちて死体の回収が出来なかったとでも言っておけばいいだろう。うちは表では医療部門はまだ弱いが、裏の医者関係は色々人脈もあるんだ。闇の整形外科医も心当たりはあるし顔なんか変え放題だぞ。戸籍まで手に入れるのは骨が折れるが、結婚でもしない限りある程度の証明書類は偽造も出来るから特に不便はない。そうなったらもう指名手配のポスターにもおまわりの視線にもビクビクすることはない。いい戦力になってくれたらそのまま組に残るもよし、報酬を受け取って人生やり直すんでもいい。最初に伯方におまえを紹介してきた警備会社に別人として再就職してもいい。これ以上の好条件はないぞ。それが嫌なら死体になって青乃に提出されればいい。勝手にしろ」

 嵯院は一気に"条件"を提示した。

 確かに。
 指名手配から逃れられるだけでも十分すぎるほどの条件だ。この屋敷の仕事を辞去し、顔を変えられる医者を自分で探そうと思っていた。それを紹介してくれるというなら渡りに船だ。

むしろ何故ここまで提示してもらえるのかがわからない。これがもしすべて嘘だとしても、少なくともここで殺されるよりは生き延びる確率は高い。

 この際、この男のことが個人的に気にくわないなど小さなことだ。
 佑介が気になるのはたった一点しか無かった。
 
「紋志はどうなるんだ」

 同じところを堂々巡りしているような気がした。

 それでも、紋志の処遇がはっきりしない限り、嵯院からの条件提示にも尻尾を振って飛びつくわけにいかない。

 嵯院は立ち上がった紋志の側に足を進めると、腕を組んでサッカーボールを蹴るように紋志の左脚を軽く蹴った。

「おまえはどうしたい?おまえが青乃に言い募る必要もなく邨木が助かるとして、おまえはそれでも自分は青乃のもとに戻った方が良いと思うのか、それとも邨木と行きたいのか」

 それは佑介自身が一番聞きたい──あるいは聞きたくない質問。

 紋志は考えを整理しようとしているかのように部屋をゆっくりと見回し、最後に佑介に目線を固定した。

 僕がいる──

 

 たった数時間前にした約束。
 口の動きだけで、ごめんね、と紋志は言った。

 

「やっぱり一度は青乃さまのところに戻ります。青乃さまが飽きるのが先か、僕の気持ちを青乃さまにわかっていただけるのが先か、僕が壊れるのが先か。わからないけど」

 

 どうしてもその結論になってしまうのか──

 紋志がいやに晴れ晴れとした顔をしているのが目についた。
「青乃さまとの約束を破ったまま何もせずに自分だけ好きな人と幸せに生きていくなんて出来ないから」

 一歩、二歩。紋志の立っていた場所から佑介が拘束されたソファまですぐに到達する。

 自分を押さえつけていたKの手がふいっと視界の外へと消えていくのを感じた。自由にされたのか?突然?何故?

 と思った瞬間、紋志が自分を抱きしめた。その状況を把握するのに、3秒かかった。佑介の耳に紋志の唇が当たる感触がする。声帯を通らないような顰めた声がダイレクトに佑介の耳の穴を通ってくる。

  

 少しだけ時間をください。
 あなたとならこのまま行けるかもって、行きたいなって思ったのは本当。
 そばにいて欲しいし、いてあげたいって思ったのも本当。
 だけど僕にはまだ、恭さんをちゃんと胸の奥にしまいこむ準備が出来てなくて、
 それから青乃さまからもまだ逃げたくなくて、
 だからやっぱりまだあなたとは行けない。
 もしあなたが、
 名前も顔も生きる環境も全部変わっても、
 もし僕と行きたいという気持ちが消えてなかったら──
 その時はきっと──

 何か言おうとした時にはもう、紋志は佑介から離れていた。
 何か言おうとはしたけれど、何を言えばいいのかはわかっていなかった。身動きも出来なかった。
 紋志はふと思い立ったようにKの側に足を進め、何事か耳打ちをしているが、それも佑介の目には入っていなかった。それからゆっくりと伯方に向き直り、深呼吸のように深く2回呼吸をして、そして笑った。


「青乃さまのところへ連れて行って下さい」

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 夜間大学に進学することにした時、通学するには少し遠いのは確かだったけど学校が店より昼間の職場に近いからと言ってアパート暮らしを勧めてくれたのは恭さんだった。

「アパートの家賃なんて無駄だよ。通うよ」

「交通費や通学に使う時間こそ無駄だろ。その時間をおまえは新しい友達とか職場の同僚とかと遊んだりすることに使った方がいい」

 恭さんは僕を遠ざけようとしているのかも、と思った。

 僕の気持ちが恭さんの負担になっているのかもしれない──

 確かにあの頃の僕は視野も狭くて僕の世界の中には恭さんしかいなかったしそれ以外必要ないと思ってた。新しい友達なんかいらない。同僚は同僚で、それ以上でもそれ以下でもなかった。恭さんはそんな僕を心配していたのかもしれない。

 初めて恭太蕗に来た時僕はまだ中学生で、突然葛木のお屋敷からここに連れてこられてあの通帳を渡された。今日からここで暫く暮らしなさい、と紹介されたのは、父親というには若く兄というには少し離れた年の、あのお屋敷にいたとは思えない威勢のいい感じの人だった。

 最初会った時はまだ恭さんの耳のあたりまでしか身長が無かった僕は、就職して夜間の高校に通い始めたあたりで急に背が伸びて、わずか1年ほどの間に恭さんと同じくらいの身長になった。毎日伸びる身長を測ってはすげえな、と笑ってくれた。

 

 僕はいつ自分の気持ちに気づいたんだったかな。

 

 夜間高校の2年の時、同級生の女の子に告白された。確か、昼間は食品工場か何かに勤めていた子だったと思う。

 同級生以上にも以下にも思えなくて断ったら、別の同級生の男子たちにもったいないとからかわれた。その女の子は見た目も性格もとても可愛い子で、他の連中から見たらあんな可愛い彼女が出来るチャンスなのに、別に他に好きな子がいるでもないのに断るだなんてありえないことだったらしい。

 そんなものなのかなと思ったけど、そういえば他の連中が持ってくるグラビアだとかエロ本だとかそういうものに全く興味がわかなかった。

 なのに。

 家──『恭太蕗』に帰って恭さんが料理してる時の腕の筋とか。

 シャツに浮かぶ肩甲骨とか。

 くっきり見える鎖骨とか。

 刈り上げたうなじとか。

 そういうのを見るとなんだかドキドキするようになっていた。

 一緒に暮らすようになった頃からずっと恭さんは風呂上りに全裸でウロウロしていたのを普通に見ていたのに、ある日それを見た瞬間自分の身体が反応してしまってやっと僕は。

 恭さんを"そういう目"で見てしまっていることに気づいたんだった。

 どうしよう。

 こんなの恭さんに知られたら気持ち悪がられるかも。

 あの中学生の頃じゃない。もう自分で稼いでもいる僕は、ここにいる必要がないと追い出されるかもしれない。

 隠し通さなきゃ。

 そう思ってたのに。

 ある時珍しく酔っぱらってそのまま大の字になって寝ている恭さんに、僕は我慢できなくてこっそりキスしてしまって──でも恭さんは受け容れてくれたんだよね、僕の気持ちを。

 受け容れてくれたって、思った。

 でももしかしたら、恭さんは後悔してたかもしれない。

 僕にとってよくないことだと思ったのかもしれない。

 だから、家を出てアパートで独り暮らししてみろって言ったの。

 でも怖くて聞けなかった。

 本当は僕のことをどう思っているの?って。

 お金が目標額まで溜まって、葛木家にあれを返しにいって。

 次の週末に帰るつもりだった。

 そして、ちゃんと話をしたいって思ってた。

 僕は恭さんが大好きだよ。

 僕は大人になって、ひとりで生きていけるだけの力を身に付けたけど、

 それでも僕は恭さんといっしょに生きていきたいって。

 大学を卒業したら、恭さんが嫌でなければこれからもずっとここに、恭さんのそばにいさせて欲しいって。

 ちゃんと、そう言おう。

 僕はあの時、そればっかり考えていたんだよ。

 もう──

 永遠に叶わないけれど。

 佑介さんが僕を必死に助け出そうとしてくれて、自分と行こうと言ってくれたことが嬉しいと思ったのは嘘じゃない。でも、きっとまだこんな気持ちのまま彼と行っても、僕はきっと彼を恭さんの替わりみたいにしてしまう。そうでなければ比べてしまう。

 さっき、佑介さんと初めて抱き合った時も本当は心のどこかで比べてた。キスの仕方も、手の動かし方も、僕の知ってるのと違うと。

 ごめんね、佑介さん。

 僕の心がちゃんと恭さんはもういないんだよって納得してくれるまでは、僕はあなたと行くべきじゃない。

 そんな時が来るかもわからないし、そうなった時にはあなたはもう違う人生を僕無しで始めて、僕が必要無くなってるかもしれない。それどころか、あれが最後でもう二度と会うこともできなくなるかもしれない。

 そうしたら僕は遠くからあなたが幸せになりますようにって祈るよ。

 せめて、あなたが未音さんを助けられなかったという罪の意識から解放されますように。

 何か危ない仕事をするとしてもどうか無事で──

 青乃さまは許してくれないだろう。

 僕は2回も約束を破ったのだから。

 きっともう何を言っても信じてはもらえない。

 この分ならきっともう学校も職場もすでに手を回されて辞めたことになっているだろうし、僕は本当に帰る場所が無くなった。

 ということは時間はたっぷりある筈。

 いつか青乃さまが僕の言葉に耳を傾けてくれる時がくる。

 そしていつか。

 僕が必要ではなくなる時が。

 紋志は青乃の部屋へ導かれるまでに考えていたことをもう一度反芻して、ズボンのポケットに押し込んだ小さな箱の感触を掌で確かめた。

 渡り廊下のようなところで先導者がKから龍巳に変わる。龍巳は不審そうな顔でKを睨んだが、言葉を交わすことなく紋志の腕を取って旧館の奥へと消えていった。

 通った覚えのある廊下を通ると龍巳はひとつの大きな扉の前で立ち止まり、ノックをした。

​「青乃様、紋志が戻ってまいりました」

 

 

Note

オリジナルTUSではこいつら何回も逃げたり捕まったりごちゃごちゃしていたはず(データが無いので記憶…)なんですが、間のエピソードをだいぶカットしたらなんかすっきりしました…。そしてやっぱりいきなりノンケの二人がなかなかすんなりああはならんだろうということで紋志の方をもともとゲイだったことにしました。恭さんとのエピが漲ってしまってうっかり詳細にエロ書きそうになったのをぎりぎり踏みとどまったんですが、一応紋志は受です。意外性なくてすいません(?)。実はオリジナルでは紋志も青乃パパ紘柾の毒牙にかかっていたことになっていました。←で思い出したけど、そもそも青乃パパのロリショタ設定ってここから生まれたんですわ!! 実は今回ここに着手するまではその設定も生かしたままでいいかもって思ってたんですが、さすがに下の娘より年下の子供にはちょっとな(しかもそのころにはそれはやめるようになったと「駄目な男」で書いてしまったし)と思い。紋志はなんの要因もなくナチュラルボーンの同性愛者だった方がよかろうということに落ち着きました。

そういや佑介のHNモデルの人(TUS中心メンバーのひとり)がこれ読んだ時に「おっ…ユースケは攻なのか…そうか…」言うてました。残念やったんかい。オリジナルの方では紋志は伯方(オリジナルでは執事とかテルとしか表記してなかった…)にも椎多にもやられるという酷いありさまだったんですがそこはもうやめました(笑)。

​あと書けば書くほど名張くん気に入ってきたんですけど、いっぺん「名張光好の一日」みたいなマジで何も起こらん話書いたろか。

​そしてこの一連の話には本当にマジで関係ないけど『しぶや』の次男にちょっと触れてます。ここで初めてヤツの素性を知ったのね、椎多は。もしかしてこの人たち、子供の頃に『しぶや』で会ったことあるかも。

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